小型コウモリ、長寿の秘密はフルーツ
コウモリのなかでも、オオコウモリを除くほとんどの種はいわゆる「小型コウモリ」。小さいものは体長3センチ弱、大きくても12センチ前後しかないが、その数はおよそ1000種にのぼり、地球上の全哺乳類の実に17%を占めている。
「初めて見たら、その小ささに驚きますよ」と、オーストラリアのメルボルン大学でコウモリを研究するピア・レンティーニ氏は言う。「おまけに、おしつぶされたみたいなブサイク顔ぞろいなんです」。ところが、暗闇にすむこの小さな動物は、これまであまり研究もされず、日々の暮らしも謎に包まれたままだった。
小型コウモリは、反響定位という能力、いわば体内ソナーを使って、蚊などの害虫を捕まえている。また、テキーラの原料となるリュウゼツランなどの授粉をしているのも彼らだ。小柄なわりに、寿命が長いのも特徴。一般的に小型動物は寿命が短いと思われがちだが、最も長く生きたコウモリは、野生下で41年という記録がある。
だが、その長寿の秘密についてもほとんどわかっていない。小型コウモリは研究が難しいからだ。夜行性というだけでなく、捕獲されたり、観察されたり、冬眠を邪魔されたりすると、「われわれ人間を避ける術を学習したり、早死にしたりする可能性が高くなるんです」と、国際コウモリ保護協会の創設者でコウモリ研究家のマーリン・タトル氏は語る。
だが、寿命に最も影響を与えているのは餌だ。虫を食べるコウモリよりも、フルーツを食べるコウモリの方の寿命が長い。これはおそらく、餌を追いかけることがない分、捕食者の目にさらされる時間が短いからだろう。
また、コウモリの子どもの体重は、母コウモリの3分の1もあり、母コウモリは多大な負担を強いられる。そのため、出産数の多いコウモリはどうしても短命になりやすいと考えられる。
コウモリは同じ種であっても、習性に大きなばらつきがあり一定していないと、タトル氏は言う。「種全体の習性や寿命のモデル化は、極めて慎重に行わなければいけません。小さい窓をのぞき込んで、種全体の習性や寿命をモデル化するわけですから」
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