長女には染みついた“キャラ”がある。責任感が強く、生真面目で、面倒見がいい……。
両親の期待を受け、しっかり者として育ち、弟や妹の世話を焼き、時に両親の相談相手に。
そうしていつの間にか染みついた「長女キャラ」。それ が、これほどの生きづらさを生むとは──。
都内でフリーライターとして働くミサさん(39)は社会人になって、そのことを思い知った。
3歳下の弟がいる。子どもの頃は長女であることを意識することはあまりなかった。両親は子どもたちの自己決定を大事にし、教師だった父も「勉強しなさい」 と言うことは一度もなかった。
ミサさんはコツコツ勉強し大学院まで進んだが、 勉強嫌いな弟は高校を卒業後、「第1次産業で生きていく」と宣言。北海道の離島で漁師になった。
ミサさんは、生活情報誌の編集部に就職した。編集部は個性の強い人ばかり。 その尻ぬぐいがミサさんに集中した。自分と同じしっかり者タイプの同僚と愚痴をこぼし合ううち、生きづらさの原因に行き当たった。
「あの人は次女、あの人はまん中……分類していったら、編集部で長女はその同僚と私の2人だけ。編集長以下、みんなきょうだいで下の子ばかりでした」
もっといい加減になればいい。自分に言い聞かせたときもあったが、染み込んだ長女キャラは抜けない。5年後離職。
「面白い雑誌を作るには、ハチャメチャな自由さは大事。しかし小心者の私には無理でした。もしその編集部で自分が上に立ったら、いろいろなことに気を使い、きちんとはしているものの、ちんまりとした雑誌になってしまったかも」
ミサさんは現在、きっちりとした仕事ぶりが評価され、自分に合った居場所を見つけられ胸をなでおろしている。
「お姉ちゃんなんだから」。その呪縛は、長女の恋愛や結婚にも大きく作用す る。愛知県出身で都内で働くチカさん(50)は、生まれたときから「長女という 役割」を背負わされてきた感覚がある。38歳で東京に転勤し、ひとり暮らしを始 めたとき、
「自分だけの時間、自分だけの空間があって『長女でない自分がいる』と新鮮に感じました」
2人姉妹の長女。子どもの頃から母にはこう言われ育った。
「お姉ちゃんなんだから、最後は家のことをやってもらいます」
5歳下の妹は嫁いだら「外の人」になるので、最初から枠外だ。チカさんは何をするにも親の許容範囲を推し量り、恋愛中も頭を離れなかった。
「男性と出会っても、長男なのか、次男なのか。何人きょうだいなのかが気になって。結婚のハードルを上げていました」
長男は論外。ターゲットとなるのは次男や三男だが、そう簡単に出会えるものでもない。加えて、彼らは家のこととなると役に立たなかった。
「(長子のような)当事者意識がないので、使えないんです……」
おソース
http://a.excite.co.jp/News/society_g/20150810/asahi_20150810_0010.html