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バングラデシュからインドに国籍を変えるアブドゥル・ジャリルさん Photo: Syed Zain Al-Mahmood/The Wall Street Journal
By SYED ZAIN AL-MAHMOOD
2015 年 8 月 2 日 10:10 JST
【クリグラム(バングラデシュ)】インドとバングラデシュが国境付近の飛び地領土を交換した。5万人を超える人々に事実上の
無国籍状態を強いた長年の問題が解消された。
両国を分ける約4000キロメートルの国境は非常に入り組んでいる。歴史の気まぐれのせいで一方の領土がもう一方の領土に
完全に取り囲まれた飛び地がいくつもあるからだ。
8月1日午前0時になると、バングラデシュ領内にある111のインドの飛び地と、インド領内のある51のバングラデシュの飛び地
は新たな国旗を掲げた。飛び地の住民は今の土地に残って国籍を変えるか、自国領内に移住するかのどちらかを選ぶ。
バングラデシュ政府関係者が発表した数字によると、ほとんどの住民が住んでいる土地にとどまるという。バングラデシュ
・クリグラム県の地元政府関係者によると、移住後の生活への不安からインドでもバングラデシュでも多くの住民が移住を
選ばなかったようだ。
(中略)
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飛び地は他に例を見ない歴史の歪みから生まれた。歪みは修正されず、18世紀にこの地域を治めていた王国間の政治的
取り決めによって、陸の孤島は別の国に囲まれたまま残された。
インドが1947年に英国から独立し、インドとパキスタンに分離すると、各地域は帰属する国を選ぶことが認められた。周辺が
別の国への帰属を決めた地域は本土から切り離され、新たな国境線が引かれた。バングラデシュは1971年にパキスタンから
独立した。
1970年代以降、インドとバングラデシュは何度も飛び地解消に乗り出したが、具体的な方法で合意できなかった。今年6月
になってやっと両国は土地交換で最終合意に達した。
本土から切り離された飛び地には行政機能もインフラもほとんどなく、住民は両国のはざまに取り残された。ジャリルさんは
子どもの頃、バングラデシュ人であることを隠し、国境警備隊員の目を盗んで国境を越えてインドの学校に通ったそうだ。
「厳密には私はバングラデシュ人だったが、どちらの国にも承認されていなかった」。
インド領内の飛び地に暮らすバングラデシュ人で、インドへの国籍変更を選んだ住民は約1万5000人。ジャリルさんもその1人
だ。バングラデシュ領内の飛び地では、約3万7000人のインド人の大多数が移住より国籍変更を選んだ。
(以下略)
http://jp.wsj.com/articles/SB10619862528015903871904581145142116594156