<原発再稼働>最終処分が危機…海外報道過熱
東京電力福島第1原発事故後初の本格的な原発再稼働が8月にも九州電力川内原発(鹿児島県)で予定されていることを受け、
日本の原子力政策に関する海外メディアの報道が相次いでいる。
核兵器の材料にもなるプルトニウムを日本が保有している現状も取り上げられ、国内の関係者から海外世論への影響を懸念する声が出ている。
米紙ワシントン・ポストは今月20日、「メルトダウンと津波、国民の反対にもかかわらず、日本は原発を再開するかもしれない」との表題で再稼働に言及。
原子力規制委員会についても「原発回帰を可能にする(新規制基準適合の)決定は世論に支持されていない」と指摘した。
11日には米通信社ブルームバーグが「桜とすし、酒、そして1万7000トンの高レベル放射性廃棄物の地・日本へようこそ」と始まる記事を配信。
原発の廃炉で生じる廃棄物が今後増えることに触れ、高レベル廃棄物の最終処分政策が危機的状況にあると報じた。
内閣府によると、2014年末時点の日本のプルトニウム保有総量は前年同期比0.7トン増の約47.8トン。
内訳は表の通り。国内保有分のうち約3.6トンは青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で保管している。
各国の非軍事目的のプルトニウム保有量を見ると、日本は英国、フランス、ロシア、米国の核兵器保有国に続く量となっている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは15日、「プルトニウムの膨大な蓄積をどうするかという課題が再び表面化している」と報道。
6月中旬には国際通信社のロイター通信がフランスで保管中の日本のプルトニウムに関し「処理責任がある現実を日本人に突き付ける事実だ」と紹介した。
使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す六ケ所村の再処理工場が稼働すれば保有量はさらに増える。
ウラン燃料に混ぜて使うプルサーマル発電がプルトニウム消費の柱だが、実施のめどは立っていない。
プルトニウムには特に米国が敏感で、日本に再処理の権利を認めている日米原子力協定の次期改定(18年)で焦点となる。
一連の報道について、外務省の初代原子力課長で外交評論家の金子熊夫氏は「民生用プルトニウムはすぐに兵器転用できないことや、
国際原子力機関(IAEA)の厳重な査察下にある点に触れていない。協定改定に悪影響が出かねず、政府は誤解を解く努力をすべきだ」と話した。
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