【台北＝迫田勝敏】歴史教科書などの改訂をめぐり台湾の高校生たちが二十二日夕、「改訂は歴史の後退」と
反対し、教育部（文科省に相当）前で大規模集会を開いた。徹夜で抗議行動を続けるとして集会後もキャンドル
をともし、日暮れとともに参加者が増え、教師や父兄なども含め千人近くに膨れた。
台湾では、日本の学習指導要領に近い課程綱領（課綱）に基づいて教科書が改訂される。課綱は六年ごとの
改訂で次回は二〇一八年だが、教育部は今年は「微調整」としている。しかし関係者によると、馬英九総統の
指示もあり、特に歴史教科書は６０％前後を改訂。国民党政権が一九四七年に台湾人を武力弾圧した二・二八
事件の記述を減らすなど台湾色を薄め、中国大陸の歴史など中国色を増やした。課綱作成の専門家委員会は
非公開で、歴史学者が一人もいないという。
このため高校生たちは「ブラックボックスでの改訂」と各地で反対集会を開催。若者の間では自分を台湾人であり、
中国人ではないとする意識が広がっている。台湾全島で三百余校ある高校のうち二百以上が反対集会を
開いたとされ、この夜の集会は「教育部包囲」をスローガンに地方からも高校生が集まった。教育部は抗議活動を
警戒し、建物を鉄条網で防御した。
教育部によると、改訂教科書は完成間近で、九月の新学年から使用されるという。
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２２日、台北で、歴史教科書の改訂に対し、古い教科書を積み上げて抗議する高校生ら。
脇に呉思華・教育部長（教育相）のプラカードを立てて反発した＝迫田勝敏撮影
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