l焼き鳥屋台の母逝く 久留米の老舗 「キング」で半世紀
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福岡県 久留米市内で現在、最古参と言われる焼きとり屋台「キング」で、半世紀にわたって店に立ち続けた上野キヌエさんが先月、亡くなった。
享年82歳。飾らぬ雰囲気と優しい人柄の上野さんは、多くのファンに愛された。
古き良き昭和の屋台を、11年前から一緒に店に立つ孫の和久さん(34)が 引き継いでいる。
創業は1961年。市内の別の場所で、「夜光虫」という名前を掲げて営業していた焼きとり屋台を譲り受け、上野さん夫婦が64年、2代目として今の市役所周辺で店を開いた。
ダルム、豚バラ、皮……。客の前で素材をさばき、串に刺して炭火で焼く。
屋台のメニューにはない、ご飯ものや酒以外の飲み物の持ち込みは自由。
飾らない店の雰囲気と味、上野さんの優しい人柄から、店は多くのサラリーマンや家族連れでにぎわった。
常連客(56)の一人は「おちゃめで、三角巾をかぶったあの笑顔が良かった。亡くなったご主人や和久さんとちょっと言い合いになるのも店の名物。寂しいね」と振り返る。
「創業当時は景気が良かった。午前0時の夜勤帰りに立ち寄 る工場の従業員らでにぎわい、深夜2時まで営業した」
昨年10月に取材した際、上野さんは当時をこう振り返った。
80歳を過ぎても焼き場に立ち、手が空けば常連客の話し相手になったり、ギンナンの殻をむいたり。
夏の暑い夜も、冬 の凍えるような夜も、常に手を動かし、午後11時の営業終了まで働いた。
和久さんによると、上野さんは今年1月に 胃がんが見つか り、緊急入院。
その後は屋台に一度も立つことなく、6月25日に亡くなった。
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