共犯話せば「量刑考慮」…裁判官が異例の説得
2015年07月16日 09時55分
ニセ電話詐欺で現金の受け取り役をしたとして詐欺罪などに問われた男に対し、福岡県内の裁判所が15日、
懲役2年6月、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役3年6月)の有罪判決を言い渡した。
男は当初、報復の恐怖から共犯者についての供述を拒んだが、裁判官から、話せば量刑を考慮すると異例の説得を受け、
捜査協力に応じた。判決は「本来は実刑だが真相解明に貢献した」と判断した。
判決によると、男らは今春、熊本県内に住む女性に息子を装って電話し、数百万円をだまし取った。また、福岡県内の
女性からも同様の手口で数百万円をだまし取ろうとした。男は現金の受け取り役だった。
6月にあった公判で男は、共犯者から現金の要求や、家族に危害を加えるとの脅しなどがあったとし、「不当要求が怖くて
犯行に加担した。報復があるので(共犯者について)すべては明かせない」と供述した。裁判官は「私は頭にきている。
このままでは犯罪が繰り返される」と一喝。「共犯者について話せば、量刑を考慮する」と述べ、いったん結審した。
15日は判決期日だったが、弁護側の申し立てで弁論を再開。男は頭を丸刈りにし、「裁判官からの説得で、自分が
言わなければ事件の一部しか解決しないと思った」と述べ、共犯者の情報を捜査側に伝えたことを明らかにした。報復が
懸念されるため、今後は住所を変えて暮らすという。
検察側は、前回の公判で求刑した懲役4年を同3年6月に引き下げて再度求刑。即日言い渡された判決は「被害は
高額だが、共犯者情報を詳細に捜査機関に述べた。実刑は酷」とした。
判決後、男の弁護人は「被害額を考えれば、実刑もあり得た事案だった」と語った。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150716-OYT1T50045.html