http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPL4N0ZU34F20150714
[東京 14日 ロイター] - 信用買い残が1年5カ月ぶりの高水準に積み上がった。ギリシャや中国など海外リスクの高まりによる日本株の急落局面で個人投資家が買い向かったためだ。買い残の増加は目先の売り圧力につながりやすいが、個人の投資余力は潤沢で、海外情勢が落ち着きを取り戻す過程でも、極端な戻り売りは出にくいとの見方が出ている。
東京証券取引所が発表した7月10日申し込み時点の信用買い残(東証・名証の2市場合計)は、前の週に比べ2042億円増加し、3兆4440億円となった。2014年1月31日申し込み時点の3兆5241億円以来、約1年5カ月ぶりの高水準。信用倍率は5.35倍に上昇し、約半年ぶりの大きさとなった。
7月6─10日の週はギリシャ問題の混迷や下げ止まらない中国株を警戒し、日経平均は週間で759円下落。海外勢のポジション調整売りや先物への仕掛け売りなどが指摘され、9日には一時1万9115円と3カ月ぶりの安値を付ける場面があった。その過程で逆張り投資を好む個人投資家が買い向かったとみられている。
前週は機関投資家が利用する昼のバスケット取引額が小さく、「公的年金など大口の投資家の動きは乏しかった」(国内証券)という。日銀は6日、8日、9日にETF(上場投信)買い入れを実施したが、1日の買い入れ規模は6月の370億円から直近では324億円に減少している。「日本株の下値を支える投資主体が、公的な主体から個人投資家にシフトしている」(同)との指摘もあった。
信用買い残の増加は将来的な売りにつながるが、目先的には懸念は乏しいとの見方もある。個人の待機資金とされる「マネー・リザーブ・ファンド」(MRF)が6月末で12兆3295億円と過去最高水準に積み上がるなど個人の資金は潤沢で、急いで売る必要はないためだ。SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏は「海外情勢が一段落した足元では個人が売り急ぐ必要はない。企業業績は堅調との見方も先高観につながる」とみていた。