絶滅の危機に瀕した動物をスポーツのために殺すことが、果たして種の保護につながるのだろうか? 生物多様性保全プロジェクトの一大資金源である世界銀行は、そうだと考えている。
世界銀行は昨年末、最貧国のひとつであるアフリカ、モザンビークに対して、4600万ドルの助成を決めた。観光業の促進と、貧困の緩和が目的だ。現在、そのうちの70万ドルが、ゾウおよびライオンのスポーツハンティング強化に割り当てられている。
モザンビークのゾウは、アジアへ象牙を密売するために密猟され、個体数が激減している。米野生生物保護協会(WCS)の調査によると、2009年に2万頭いたゾウが、2014年には1万300頭へと半減している。
モザンビークは、南アフリカ、ナミビア、アンゴラ、ジンバブエ、タンザニアなどの貧困国と同様、野生生物保護の資金源として、スポーツハンティングを奨励してきた(それでもモザンビークのサイを守ることはできず、2013年には国内での絶滅が宣言されている)。
世界銀行ワシントンD.C.本部のスポークスパーソンを務めるマジ・セック氏は、「適切な規制がなされ、かつ収益が公園内および周辺のコミュニティに分配されれば、(ハンティングは)公園や自然資産を持続的に管理するための重要なツールになります」と主張する。
ケニアの動物学者フィリス・リー氏は、「(世界銀行は)野生動物の消費的利用に対して、功利主義的な視点に突き動かされている」と述べる。
さらにリー氏は、国際自然保護連合(IUCN)にダラスサファリクラブが加盟したことを批判している。同クラブは、ナミビアで絶滅の危機に瀕しているクロサイのハンティング許可をオークションにかけているスポーツハンティングクラブだ。「ハンティングをさも保護のためであるかのように語らせる、考えうるかぎりで最悪の方法です」
スポーツハンティングに疑問を抱くIFAWのジェフリー・フロッケン氏は、このように述べている。「ある動物種の最大の価値が死んだ状態の狩猟記念品にあるなら、その種の余命はいくばくもないでしょう。象牙やサイの角のようなパーツの価値が、密猟者からの保護をほぼ不可能にしているのと同じことです」
省略してます。全文はこちら http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/b/071000019/?P=1