知らぬ間にキャンセルされるホテル予約
By SCOTT MCCARTNEY 2015 年 7 月 12 日 10:49 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB11807971170009143901604581102953324855870
マイケル・コトゥーラさん夫妻は5月末にデラウェア大学に通う娘の卒業式に出席するため、8カ月も前に旅行予約サイト
「エクスペディア」を通じてホテルの1室を予約した。卒業式の2カ月前にはホテルに直接連絡して予約を確認した。
ところが宿泊予定日の2日前、エクスペディアからの電子メールでホテルから予約を取り消されたことを知った。コトゥーラさんが
予約していたデラウェア州ニューアークのヒルトン・ウィルミントン・クリスティーナに苦情の電話をかけると、エクスペディアのような
旅行代理店経由の予約はホテルが直接受けた予約ほど確実ではないと言われた。
コトゥーラさんは「エクスペディアを使った予約が確実ではないことを事前に知っていれば」と話す。
ホテル運営会社やホテル業界のアナリストによると、法律的には、認可された代理店を通じた予約は、航空会社や自動車
レンタル会社、ホテルに直接連絡して取った予約と同じように確実だという。しかし、ホテルは代理店経由の予約に手数料を
支払う必要があるため、顧客を直接予約に誘導しようとする。そのため、仲介業者経由の予約では部屋を確保できないかも
しれないと考えて、エクスペディアやオービッツなどのオンライン旅行代理店で価格を比較してからホテルに直接連絡して予約を
取る旅行客も多い。
エクスペディアは、予約方法によって違いがあるとホテルがコトゥーラさんに伝えたのは不適切だとの見解を示した。エクスペディア
の広報担当マネージング・ディレクター、アダム・アンダーソン氏は「ホテルは誰かに責任を押し付けようとしている」と話した。しかし、
ヒルトン側の説明によると、ホテルで直接取った予約のほうが優遇される可能性がある。「ホテルにとって、直接予約した顧客の
ほうが連絡を取りやすい」ためだそうだ。
記者がヒルトン・ウィルミトンの総支配人、ブラッド・ウェンジャー氏に取材したところ、予約への対応に関する質問はヒルトンの
本部に問い合わせるように言われた。ヒルトンのグローバルマーケティング担当バイスプレジデント、アンドリュー・フラック氏は
コトゥーラさんの予約についての質問はホテルに聞いてほしいと回答した。
要は、航空会社もリゾート施設もクルーズ船もホテルもレンタカー会社も、客がどのような手段で予約をしていようが、割のいい
予約が入れば既存の予約をキャンセルすることがあるということだ。
航空業界では座席以上に予約を受け付ける「オーバーブッキング」は運輸省の規制対象となっており、航空会社は意思に
反して予約を取り消された乗客には現金で賠償金を支払わなければならない。高い運賃を支払う乗客が出発間際に現れて、
低運賃の客の予約がキャンセルされることがないように、2011年には賠償金の額が2倍に引き上げられた。しかし、ホテル業界には
このような規制はない。
(以下略)