幼少期に性的虐待でうつ発症、加害男性の賠償確定 最高裁
幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代の
女性が親族の男性に損害賠償を求めた訴訟は、男性に約3030万円の支払いを命じた二審札幌高裁判決が
9日までに最高裁で確定した。
第2小法廷(山本庸幸裁判長)が8日付で男性の上告を退ける決定をした。
二審判決によると、女性は3~8歳だった1978~83年に男性から性的虐待を受けた。
83年ごろにPTSDを、2006年9月ごろにうつ病を発症した。
争点となったのは、不法行為に対して損害賠償の請求が可能な20年の「除斥期間」の起算点。
一審釧路地裁は、性的虐待が原因でPTSDとうつ病を発症したと指摘したが、最後に虐待のあった1983年ごろを
起算点とし、「すでに請求権は消滅している」と訴えを退けた。
二審はPTSDとうつ病は別個の損害と認定。
PTSDを発症した損害は請求権が消滅していると指摘したが、うつ病は「発症した2006年9月ごろが起算点で、
除斥期間は経過していない」とし、慰謝料や治療費など計約3030万円の支払いを男性に命じた。
幼少期に性的虐待を受けた被害者は成人になってから被害を訴え出ても、刑事、民事ともに時効が成立したとして
泣き寝入りするしかないケースもあるという。
自民党のプロジェクトチームは対策を議論しており、時効を成人になるまで停止できるようにする法改正案を
盛り込んだ提言を公表している。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H9O_Z00C15A7000000/