NTT東西が「ひかり電話」国際通話不正利用対策、約120件で被害相当額返金も
2015/07/06
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/070602249/
NTT東日本とNTT西日本は2015年7月6日、IP電話の交換機(IP-PBX)への不正アクセスによって高額な国際電話
通話料請求が発生している問題について、今後の対策を発表した(関連記事:IP電話乗っ取りで高額請求被害、
「通信機器の設定状況を確認」総務省が注意喚起)。事前連絡無く発信規制する緊急措置や、被害を受けた顧客の
一部に相当額を返金する対応などを盛り込む。「ひかり電話」利用者が対象となる。
7月下旬をメドに、前月の通話料の数倍にもなるような異常な国際通話料発生をNTT東西が認知した場合、顧客への
事前連絡なしに国際通話の発信を一時的に規制する措置を始める。現行の約款にはこうした措置についての規定が
ないため、約款を改正する予定だという。
現在、顧客から発信規制を申し込んだ場合、NTT東西は翌営業日に発信規制工事を完了している。この間に被害が
拡大する可能性があるため、7月下旬をメドに、工事を即日完了できるように改める。さらに準備ができ次第、ひかり電話を
利用中の全顧客に、国際通話の発信規制手続きを検討するようダイレクトメールなどで呼び掛ける。
今回の不正アクセスはNTT東西の設備の故障・不具合に起因したものではない。NTT東西は高額であっても国際通話料
を請求するという立場をとっており、この考え方自体は今後も変わらないという。
ただし、顧客が自ら不正アクセスに気づいて発信規制を申し込んだにもかかわらず、工事完了までの間に被害が拡大した
事例があった。こうした顧客については、申し込みから工事完了までの間の被害額相当分をNTT東西が支払う(返金する)。
NTT東日本で約90件、NTT西日本で約30件の当該事例を把握しており、顧客に個別に連絡して支払い手続きをする。
今回の不正アクセス対策の対象となるのは、NTT東西のIP電話サービス「ひかり電話」を利用中の顧客に限られる。KDDIや
NTTコミュニケーションズなど他の通信事業者のIP電話サービスの利用者には適用されない。NTT東日本広報室は「被害拡大
を抑制するために、他社に先駆けて対策を打ち出した」と説明している。NTT東西の加入電話では、今のところ不正アクセス
の事象は把握していないという。