東芝の不適切会計問題に関し、二〇一四年三月期までの五年間で過大に計上していた連結営業利益の総額が
千五百億円規模になることが分かった。すでに判明しているインフラ事業などの約五百四十八億円を大幅に上回ることになる。
弁護士らからなる第三者委員会がインフラ関連に加えて半導体やパソコン、テレビの各事業も調査を進めているが、
利益の過大計上がこれらの事業に拡大し、総額が膨らむ見通しとなった。問題の金額が大きく増えることで、経営陣の
進退問題に発展する公算が一段と大きくなった。
ただ五年間の営業利益は合計一兆円程度あり、過去の業績を修正しても赤字に転落する可能性は小さい。第三者委は
七月中旬をめどに調査結果をまとめ、再発防止策を公表する方針。
東芝によると、半導体事業ではコストが増えたのに当初の見積もりを据え置いたり、在庫の評価損を適切に計上
しなかったりした可能性がある。パソコン事業でも、東芝グループで一括して部品を購入し、海外の製造委託先に販売する際に、
利益を過大に計上していた疑いがある。
テレビ事業では費用計上の先送りや、取引先への支払いの一部を翌期に繰り越して、利益を先取りしていたとみられる。
証券取引等監視委員会は二月、東芝関係者からの通報を端緒に同社を検査。今後は東芝側の会計問題の調査結果
報告を受けた上で、金融商品取引法に基づく金融庁への勧告が必要かどうかを調べる。
東芝は四月三日にインフラ関連工事で不適切会計処理の疑いがあると初めて公表。五月十五日には第三者委を設置
して詳細を調べている。
<東芝の不適切会計問題>東芝は、インフラ関連工事9件の費用などを工事の進み具合に応じて適切に見積もらず、
2012年3月期から3年間で500億円規模の営業利益を過大に計上していたと発表。その後、自社と連結子会社の
計585社を内部調査し、新たに14年3月期までの5年間で12件、約36億円の不適切な会計処理を確認した。弁護士ら
で構成する第三者委員会は半導体やテレビ事業などに調査対象を拡大。7月中旬に報告書をまとめる。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015070402000255.html
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