破綻回避に6・8兆円必要 IMFが試算、欧州とギリシャに圧力?
【ワシントン=小雲規生】国際通貨基金(IMF)は2日、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥っているギリシャの破綻を
回避するため、債務返済期限の大幅な延長や新たな資金援助が必要だとする報告書を発表した。報告書は追加支援の
規模を500億ユーロ(約6兆8千億円)と試算し、将来的には債務免除が必要になる可能性も示唆している。
報告書はギリシャ経済の改革が2012年11月に合意された計画通りに進んでいないと分析し、少なくとも債務の返済期限を
現在の20年から40年まで延長するべきだとした。さらに財政黒字目標の引き下げ、国営企業の民営化のペースを遅らせるなど
の対応策をとることが必要だと指摘。財源のうち少なくとも360億ユーロは欧州側の負担になるとしている。
ただしこれらの対応策をとったとしても、財政黒字目標を達成できなかったり、成長率が想定を下回ったりした場合は500億
ユーロ規模の「大幅な債務免除が必要になる」とした。
報告書は追加支援が必要になった理由として、今年1月のチプラス政権発足後の政策変更があったことを指摘。再建策が
計画通りに実行されていれば、追加的な金融支援は必要でなかったと主張している。
報告書はギリシャ側と協議しているIMF当局者が執筆した。ギリシャ経済の苦境と改革の遅れを同時に指摘することで、
追加支援に慎重な欧州と、改革に後ろ向きなギリシャの双方に圧力をかける狙いもありそうだ。
http://www.sankei.com/world/news/150703/wor1507030015-n1.html