グーグル検索:逮捕報道、削除命じる さいたま地裁
大手検索サイト「グーグル」を使ったインターネット検索で、約3年前の逮捕報道が表示され続けるのは
人格権の侵害だとして、罰金の略式命令が確定した男性が米グーグルに検索結果の削除を求めた仮処分で、
さいたま地裁(小林久起裁判長)が削除を命じる決定を出していたことが分かった。
ネット関連訴訟に詳しい弁護士によると、逮捕報道自体の検索結果の削除を認める判断は異例という。
6月25日付の決定によると、男性は18歳未満の女性にわいせつな行為をした児童買春禁止法違反で
罰金50万円の略式命令が確定した。
しかし、逮捕から約3年が経過しても、グーグルの検索で自身の名前や住所を入力すると、逮捕を報じる記事
が表示されていた。
男性側は「事件を反省して新しい生活を送っており、更生が妨げられている。過去の犯罪情報を実名掲載する
公共性は高くなく、違法」と主張。
グーグル側は「性的欲求を満たすため児童を利用した悪質な犯罪。国際的にも批判が大きく、子を持つ親らの
関心も高い」と反論していた。
小林裁判長は決定で、検索サイトに表示される逮捕報道について「事件後の時間の経過や歴史的・社会的意義、
当事者の影響力などを考慮し、逮捕歴を公表されない利益が上回る場合は、削除が認められる」との基準を示した。
その上で、今回の事件は▽歴史的・社会的な意義はない▽男性は公職の立場にはない▽罪は比較的軽微だった??などと認定。
事件から3年経過後もネットに表示し続ける公益性は低いとし、
「男性が受けた不利益は回復困難で重大。平穏な社会生活が阻害される恐れがある」と述べて削除を命じた。
ただ、検索サイトが国民の「知る権利」を助ける公共的な役割を果たしていることは認めた。【山本将克】
http://mainichi.jp/select/news/20150702k0000m040168000c.html