■スペースX社の将来は?
今回の事故がスペースX社へどれだけの打撃を与えるかは、事故の原因と修正の程度によるが、
原因究明には時間がかかりそうだ。「1年はかからないとしても、少なくとも数カ月は要するでしょう」
と、ハーツフェルド氏は見ている。
スペースX社は他にも多くの打ち上げ計画を控えており、また他のオプションが高額なため、総額
70億ドルに上るという同社の宇宙事業が危機的状況に陥ることにはならないだろうとログスドン氏は言う。
だが、米国空軍としては、国家の安全保障に関わる契約をまだ若い新興企業へ任せることには
慎重にならざるを得ないだろう。(参考記事:堀江貴文インタビュー「宇宙ビジネス、勝算あり」 )
スペースX社がそうした契約へ入札する権利を手に入れたのはつい最近だ。対する相手は、
ロッキード・マーティン社とボーイング社による巨大共同事業ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社である。
同社は、莫大な資金を投じた「アトラス」や「デルタ」などのロケットを擁する。「次の軍による入札
競争では、スペースX社はかなり苦しい立場に立たされるでしょう」と、ログスドン氏は言う。
宇宙飛行には常に危険が伴うとはいえ、スペースX社がこれほど見事な失敗を犯すと予測した者は
多くはない。その伝説的な創立者イーロン・マスク氏は、安価な商業用宇宙船の可能性を説く、いわば
新たな宇宙時代の申し子としてもてはやされてきた。(参考記事:「民間宇宙船ドラゴン、打ち上げ
に成功」、「ドラゴン、ISSへ初の正式な物資輸送」 )
「スペースX社は、新しい宇宙産業の先駆け的存在としてここまできました。この事故で、その評判に
陰りがさすのは避けられないでしょう」と、ログスドン氏はコメントした。