しかし、それでも安倍総理は「夏が終わるまでに押し切る」という構えを崩そうとしない。その理由を「ここにきて、またしても体調が悪化しているからだ」と明かすのは、ある自民党関係者だ。
「長年の悲願である憲法改正までたどり着けないのではないか、という懸念が総理の中で出てきているんですよ。
ここ最近官邸でよく言われているのは、トイレの回数がやたら増えている。30分に1回行く日も珍しくなくて、そんな時は『ちょっとヤバいね』と噂になっているんです。精神的にもかなり疲れていますからね」
内閣支持率はじりじりと下がり、第二次安倍政権が発足してから最低の41%となった(6月12~14日、NNNテレビによる世論調査)。このまま突き進んで、本当にうまくいくのか。不安が募れば募るほど、総理が漏らす「オフレコ発言」は過激になってゆく。
6月16日、TPP関連法案の採決で紛糾する米議会の混乱を見ていわく—。
「まったく、アメリカは何やってんだ! オバマは何やってんだ!」
21日には、翌22日の日韓国交正常化50周年を機に韓国の尹炳世外相が来日、岸田文雄外相と会談した。その直前、日韓関係について「ホンネ」を吐露していわく—。
「ほら、待ってれば韓国のほうからアプローチしてくるんだよ」
「従軍慰安婦問題は3億円あれば解決できるんだ。でも、カネの問題じゃないからなあ」
海外のメディアで報じられれば、ほとんど外交問題モノの放言ばかりである。こうした「オフレコ発言」が一向に報じられないところを見る限り、大新聞とテレビ局をガッチリ握る安倍官邸の優秀な「危機管理」は、しっかり機能しているらしい。
この夏を何とか乗り切れば、9月下旬には自民党総裁選が待っている。党内では「まったくの無風。このままいけば、安倍さんの無投票再選になる」(ベテラン議員)という見方が大勢だ。
しかし一方で、「ポスト安倍」を意識した動きが水面下では加速しつつある。
安倍総理が最も警戒する存在が、二階俊博総務会長であることは、永田町では衆目の一致するところである。5月下旬に3000人を引き連れて北京を訪れ、習近平・中国国家主席と面会したことは記憶に新しい。
「二階氏はいち早く『安倍再選支持』を表明し、大阪都構想の住民投票が行われる前日の5月16日には、見返りとして総理に地元・和歌山の高野山まで足を延ばさせました。