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「ダメなものはダメよ」「こいつの苦しい立場もわかってやって下さいよ」。発言の内容はともかく、25~26日のEU首脳会議では
まだ笑顔があったのだが・・(左からギリシャ・チプアス、イタリア・レンツィ、ドイツ・メルケル首相、写真:AP/アフロ)
6月の第4週は、日本株のみならず、欧米株も含めてギリシャ情勢を巡る「から騒ぎ」の感が強かったが、週末の27日になって
同国のチプラス首相が7月5日(日)に国民投票を実施すると表明した。ギリシャ議会は紛糾しているが、ユーロ圏財務相会合は、
当面ギリシャ向け支援を打ち切る方針を打ち出した。
(略)
結果としては、浮かれた市場よりも、欧州ウォッチャーの方が正しかったと言える。6月22日(月)のユーロ圏緊急首脳会議では
事態を進展させることができず、25日(木)~26日(金)のEU首脳会議前に形を作るため、24日(水)にユーロ圏財務相会合が、
急きょ開催された。当初は、ここでじっくりと時間をかけて協議するものと見込まれており、ドムブロフスキス欧州委員会副委員長
などは「長い夜になる」と語っていたと報じられた。だが実際にはわずか1時間で協議は打ち切りとなり、何らの成果も得られなかった。
なぜ長い夜になるはずが、1時間で散会になったか、という点について、現地では「夜を徹して議論する予定だったため、事務局が
夜食にピザを用意した。だが、『ブリュッセル(会合の場所)のピザはまずいから嫌だ』と、イタリアからの出席者が1時間で帰って
しまったからだ」という冗談がまことしやかに語られていると聞く。
世界のマーケットの目は、徐々に米国へ
結局、EU首脳会議の後に再度ユーロ圏財務相会合が6月27日(土)午後(日本時間では28日(日)の午前零時)から開催
されたが、ギリシャが国民投票を表明したため、当面支援が打ち切られることになった。30日(火)には、ギリシャからIMFへの
15億ユーロの返済期限が迫っており、デフォルトする可能性が高まった。
長い目で見れば、ギリシャ問題は、徐々に市場が取り上げなくなっていくだろう。これまでもそうだが、ギリシャ政府は瀬戸際作戦に
より債権者側の譲歩を引き出そうと努め、交渉が揉めに揉めた挙句、ギリギリになって譲歩する、ということの繰り返しであった。
今後も、EU等による支援の期限が迫るたびに、ギリシャは今までと同様の「田舎芝居」を何度も繰り返すだろう。先週に続き
今週初も、この田舎芝居が短期的には市場を揺り動かす形だろうが、中長期的には、世界市場はギリシャ情勢を、楽観も
悲観もしなくなって来るだろう。
ギリシャ情勢が徐々に世界市場の関心事から外れていけば、再度焦点は、世界最大の市場である米国に戻ってこよう。
(略)
http://toyokeizai.net/articles/-/74948