新渡戸記念館、廃止可決…新渡戸家は訴訟検討
青森県十和田市議会は定例会最終日の26 日、「市立新渡戸記念館」の廃止条例案と、解体費用約2900万円を盛り込んだ補正予算案を賛成多数で可決した。
可決を受け、資料を保管する新渡戸家側は、条例の取り消しなどを求める行政訴訟を起こす考えを示した。
約8000点に上る資料がある記念館は、昨年秋に市が行った調査で耐震強度不足と診断され、4月に休館した。
議会終了後、小山田久市長は「貴重な資料に万が一のことがあってはいけない。安全な場所で保存すべきだ」と廃止の意義を強調した。
保管されている資料の散逸を避けるため、市は今後、大部分を寄贈してもらう方向で新渡戸家と協議を進める考えだ。
寄贈を受ければ、資料を市内の他の施設で一時保管した上で、新たな展示施設を数年以内に建設する方向で検討す るという。
一方、「耐震性に問題はない」として、記念館の存続を求めていた新渡戸常憲館長は「我々の思いが通じず、残念だ」と肩を落とした。
市が資料の寄贈や一括管理を望んでいることについても「一切聞いていない。一方的で長年の信頼関係が損なわれた」と憤った。
新渡戸家の相談に乗る弁護士によると、新渡戸家側は30日にも、条例取り消しを求めて青森地裁に行政訴訟を起こす考えという。
訴訟に発展すれば、市の耐震調査の妥当性などが争点になるとみられる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150627-OYT1T50029.html