不特定多数と情報交換できるインターネット上のSNS(会員制交流サイト)を通じ、中高生らが小遣い稼ぎなどを理由に安易に自らの裸の写真を送信するなどし、性犯罪に巻き込まれるケースが後を絶たない。ネット上に画像が流出すれば、完全に消し去ることは難しい。スマートフォンの普及でネット環境がより身近になったが、使用を制限するのではなく、大人が子どもの世界やネットの仕組みを理解し、正しい利用に導く必要性がある。
「フォロワー(視聴者)数が増えるのが楽しみだった」。自身の裸の動画を課金型写真共有アプリで公開し、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑で書類送検された大阪市の高校1年の女子生徒(15)は、京都府警捜査員に対し、短文投稿サイト「ツイッター」のフォロワー獲得だったと動機を語ったという。裸の動画は少なくとも約660人にダウンロードされた。手にした報酬は約1万円相当のギフト券のみだった。
より過激な内容を求めて女子生徒をあおったフォロワーたちにも問題がある。視聴者獲得のため、エスカレートして自身の裸を公開するケースは、動画投稿サイトのニコニコ生放送やFC2動画などのSNSでも見かける。一時の過ちはネット上から消えずに、掲示板などにコピーされ、貼り続けられる。だからこそ、自己責任や精神的な未熟さだけで済ませてはならない。
警察庁によると、全国でSNSを手段とし児童買春・ポルノ禁止法違反事件などの被害に遭った児童は2014年で1421人、うちスマホ使用者は1118人。11年の11人から急増した。京都府警が5月に摘発したネット上の派遣型売春クラブに登録していた15~20歳の少女らも、SNSを通じて勧誘されていた。
京都府内で昨年SNSなどを通じて被害にあった小中高生17人のうち全員がスマホを使用していた。性的暴行を受けたケースもあったという。
援助交際を意図する書き込みなどを探し生徒を補導する府警のサイバー補導で、昨年は8人を補導した。ただ、府警少年課の冨田明信次席は「ネット環境が手元にあり、いつでもアクセスできる。被害数は右肩あがりで、氷山の一角だろう」と分析する。
中高生にとって性が売り物になるという認識はある一方で、ネットでの消えない傷痕の深さを捉えられていない。SNSに書き込んだ個人情報や位置情報を埋め込んだ写真の投稿は、匿名投稿のつもりでも、組み合わせれば個人の特定につながる恐れがある。悪意を持った人間に情報を開示しているネットの怖さを教える必要がある。
府警や教育機関では生徒だけでなく、保護者への情報モラル教室や携帯教室も開催している。子どもたちを守るために、まずは大人たちが学び、伝えなければならない。
http://s.kyoto-np.jp/kp/rensai/syuzainote/2015/150617.html
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