元法制局長官ら安保法案批判 ホルムズ海峡の事例 満州事変と同じ
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案に関する衆院特別委員会は二十二日、有識者五人の参考人質疑を行った。
民主、維新、共産の野党三党推薦の元内閣法制局長官二人は「ホルムズ海峡の事例を認めるなら満州事変と同じ」「違憲で撤回すべきだ」と批判。
政府で憲法解釈の実務を担った元長官が国会で政府提出法案に真っ向から異を唱えるのは異例だ。
元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は安倍晋三首相が必要性を強調する中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海について「中東の有事も出番があるなら限定的でも何でもない」と強調。
「遠くで油が入りにくくなったとの話まで対象なら満州事変の時と同じだ」と指摘した。
元内閣法制局長官の宮崎礼壹(れいいち)・法政大教授も「集団的自衛権の本質は他国防衛だ。『限定的』とするものを含め、従来の政府解釈と相いれない」とした上で
「憲法九条に違反し、速やかに撤回すべきだ」と求めた。
野党三党推薦の憲法学者小林節・慶応大名誉教授も「憲法に違反し、政策としても愚かであり廃案にすべきだ」と主張した。
自民、公明両党の与党推薦は憲法学者の西修・駒沢大名誉教授と元防衛相の森本敏(さとし)・拓殖大特任教授の二人。
西氏は「法案は限定的な集団的自衛権の行使容認であり、明白に憲法の許容範囲だ」と強調した。
森本氏は、米国の安保政策を補完するため安保法案が重要だと指摘し、「必ずしもまだ国民に浸透していない」と課題も挙げた。
同日の参院決算委員会では、日本を元気にする会の松田公太代表が、歴代の内閣法制局長官で本紙の取材にコメントした五人のうち阪田、宮崎両氏を含む四人が
「違憲」「運用上は違憲」との考えを示した報道を取り上げ「重く受け止めないといけない」と質問。
首相は「(集団的自衛権の行使は許されないとした)一九七二年の政府見解を変えたが、しがみついていれば国民の命が守られるのか」と反論した。
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