【アテネ=青木佐知子】ギリシャ国内では高級外車の売り上げが急増している。財政破綻が現実味を増す中で、富裕層に不安が広がっていることが背景にあるとみられる。
今月19日、アテネ郊外の自動車販売店は客でにぎわっていた。価格が約7万ユーロ(約980万円)にも達する高級車が並ぶ同店の販売員は、「5月以降、『今すぐにでも買いたい』という客が増えた。顧客の7割が現金一括払いだ」と明かす。
ギリシャ自動車輸入協会(SEAA)によると、5月の新車登録台数は9070台で、前年同月比で2割増。中でも目立つのは独メルセデスで販売台数は346台(前年同月比69%増)と高級車の躍進が目立つ。
外車販売躍進の背景にあるのは、預金課税や引き出し制限に対する不安だ。近隣国のキプロスでは2013年の金融危機で、預金引き出しが制限された。ギリシャのバルファキス財務相は5月、現金自動預け払い機(ATM)からの現金引き出しへの課金や、申告漏れの預金への課税を検討中だと語ったことも影響しているとみられる。
自動車販売店を訪れた経営者男性(58)は、「政府は預金を差し押さえることはできても、車の差し押さえはできないはず」と語り、こう言って肩をすくめた。「万が一の時のための『保険』だよ」
以下ソース
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150621-OYT1T50066.html