危機管理の県「新方針」…9年前の方針と同趣旨
福島県庁の各部局で情報公開や対応の遅れなど不手際が相次いだ問題で、県は緊急事態やトラブルへの対処の考え方をまとめた「危機管理基本方針」を作った。
大事故につながる小さな異変を放置せず、組織内部での情報 共有や県民への素早い情報発信の徹底を原則としたが、同趣旨の原則は2006年に作られた 別の基本方針で既に掲げられており、職員に意識付けられるかどうかが課題になりそうだ。
新しい基本方針は17日、各部局の危機管理担当者を集めた県の会議で正式決定された。
他県での大事故の発生を県内での事故防止対策のきっかけと捉える「意識の向上」や、職員同士 の「報告・連絡・相談の徹底」、県民への「速やかな公表」の3項目が柱。
災害や感染症の流行、事故、サイバーテロなど、対応すべき主な緊急事態を例示し、情報収集や広報など、各部局の役割分担を明確化した。
新方針を作る上で、県は今年4月以降に発覚した九つのトラブルへの対応を事後検証した。
空間放射線量観測装置の不具合や土砂崩れの公表遅れ、東日本大震災の被災者向け借り上げ住宅に関する過払いなどで、いずれも情報発信などに不手際があったと認めた。
だが、06年に作られた「総合安全管理基本方針」には、「職員一人ひとりがリスクを常に意識できる組織」や、事故や災害になりかねない事例の「報告が上がりやすい職場」を作り、「的確な情報発信」などを準備すると明記されている。
今年4月以降のトラブル続出は、方針作りだけでは問題発生の未然防止は難しいことを示している。
県危機管理課の山田耕一郎課長は、新方針と06年の方針の趣旨が似通っていることは認め、「改めて新方針を作ったことには(職員の啓発などに)効果がある」と説明している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150619-OYT1T50035.html