香港長官選 中国主導の改革案否決 民主派議員ら反対票
2015年6月19日 朝刊
【香港=加藤直人】一九九七年の英国から中国への香港返還の際に中国が公約した香港の「一国二制度」の将来に
大きな影響を与える行政長官選改革で、香港立法会(議会)は十八日、香港政府が提出していた選挙制度改革案を
否決した。
民主派の立候補を事実上不可能とする中国の全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会決定を踏まえた改革案に
立法会がノーを突きつけた。二〇一七年の次期長官選は、親中派の業界代表などでつくる千二百人の選挙委員会が
長官を選出する、現行の間接選挙で実施されることになる。
改革案の可決には、立法会議員七十人のうち三分の二以上の賛成が必要だった。投票の結果、「偽の普通選挙」と
反発した民主派議員二十七人全員と医学会に推された中間派議員一人が反対票を投じたため、反対が三分の一を
大きく上回り否決された。多数の親中派議員が投票前に議事堂から退出し、賛成票を投じたのは八人にとどまった。
梁振英行政長官は任期中に再び選挙制度改革を手がけないとかねて表明しており、少なくとも一七年までは香港で
長官選改革が政治日程に上ることはない。
香港では昨年秋、「真の普通選挙を」と求める民主派デモ隊が七十九日にわたり政府庁舎前の道路を「占拠」。審議
直前の十五日には急進民主派による爆弾密造事件が発覚し十人が逮捕されており、激しい抗議活動の再燃が懸念される。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015061902000127.html