鉄道ファンはどんなところにもいる。もちろん世界と日本の窓口である外務省の中にも。このほど、外交官の仕事を伝えるレポート
として公開になった「鉄道の旅を通して見たインドネシア」は、そのことがよく分かる内容だ。
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お客を満載してジャカルタ市内へ向かうのは、何と元東急電鉄田園都市線の車両
出典:外務省ホームページ「世界一周何でもレポート」
( http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/page22_000306.html )
このレポートは、インドネシアの在スラバヤ総領事館に勤務する古賀俊行首席領事が執筆した。「元来の汽車好き」だといい、
インドネシアに赴任してから間もなく5年になるが、時間を見つけては鉄道が走るジャワ島とスマトラ島の各地を回ってきたそう。
その成果をいかんなく発揮し、廃車になった日本の列車がインドネシアの鉄道で使われている現状などについて、分かりやすく、
詳しく書いている。
まずインドネシアの首都ジャカルタを走っている電車の9割以上は、今や日本の中古車両だという。製造から30年以上経過
したものもあるが、日本の厳しい基準で整備してきたため、状態は良好。エアコン付きということもあってサービス向上に一役
買っているらしい。JR グループや東京メトロなどが技術指導にあたっている。
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夕暮れの「線路市場」をかき分けて走っているのは、元東京メトロ千代田線の車両!
結果として、かつてジャカルタ名物として知られた危険な屋根上乗車の従来型「エコノミ(Ekonomi)」電車は姿を消しているそう。
古賀主席総領事は、日本の安全基準や技術が信頼を得たことをたたえつつ、エコノミが「現在では既に見ることの出来ない
過去の風物」になることについて、少しだけ惜しむように書いている。
レポートではまた首都の鉄道事情だけにとどまらず、ジャワ、スマトラに細やかに伸びた総延長 4,000km の地方路線についても
実地に乗り、撮り、見て回った情報をまとめている。
サトウキビの収穫時期にジャワ島の精糖工場で今も走るオランダ統治時代からの古い蒸気機関車や、日本ではジャワ更紗
として有名な蝋纈染め「バティック」のデザインを施した車両、中部ジャワはアンバラワの街の廃線駅にある古い蒸気機関車を
集めた鉄道博物館など。いずれも異国情緒とともにどこか懐かしさを感じる風物だ。
もちろん、最新の鉄道事情も詳しく報告している。例えば、計画中の MRT(都市高速鉄道)では洪水が頻発するインドネシアで
初の地下鉄区間を作るために、日本の技術を生かしているという。
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日本の協力でできた新しい高架線に、1980年代の日本の車両が走る
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この車両基地も日本の協力でできた、ずらりと並ぶ車両もどこかで見たことあるような?
(略)
http://ennori.jp/3261/report-by-railway-fan-diplomats