止まないアルビノへの暴力と差別――
2015年6月13日は国連が制定した初めての「国際アルビニズム啓発デー」となった。そのきっかけとなったのは40年前、アルビニズム(先天性白皮症。その患者は「アルビノ」と呼ばれる)のカナダ人少年ピーター・アッシュが、弱視や色素の薄い肌、白い髪などを理由にいじめにあったことだった。
【関連写真】真っ白な肌と亜麻色の髪をしたアルビノの女子学生
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嘲笑と暴力に苦しむ日々を生き延びたアッシュ氏は数十年後、世界には不幸にもアルビノへの偏見が原因で命を落とす子供たちがいることを知る。サハラ以南のアフリカでは、アルビノはゼルゼル(「無」の意)と呼ばれる霊体とされ、愚鈍、あるいは邪悪なものと考えられている。アルビノを人間以上の存在とあがめる者もいれば、逆に人間以下とさげすむ者もいる。(参考記事:「ナイフで自衛、タンザニアのアルビノ」)
アルビノの体を富、豊穣、選挙の勝利など、幸運をもたらす秘薬の材料として欲しがる呪術医もいる。各国の赤十字社をとりまとめるスイスに拠点のある「国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)」によると、アルビノの腕には4000ドル、全身(四肢、生殖器、耳、舌、鼻)であれば7万5000ドルもの値がつくこともあるそうだ。(参考記事:「タンザニアで続くアルビノ狩り」)
アフリカを初めて訪れた際、両手両足を切断され、喉を切り裂かれ舌を抜かれた6歳の女の子の家族にアッシュ氏はタンザニアで出会った。何か自分にできることがあるはずだと考えた彼はその後、不動産投資家からアルビノに関する啓蒙を行う活動家に転身し、国連に働きかけて「国際アルビニズム啓発デー」の制定に尽力した。
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