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野党分断の序章になるかもしれない。14日夜、都内で行われた安倍晋三首相と維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長の会談。「大阪都構想」に理解を示した安倍首相に橋下市長が謝意を伝えるために面会した――と報じられたが、もちろん、中身はそれだけじゃない。
安倍首相と橋下市長の会談は13年12月以来。今年5月に大阪都構想が住民投票で否決され、橋下が政界引退を表明してから初めてだ。菅官房長官と維新顧問の松井一郎大阪府知事も同席した場で一体、何が話し合われたのか。
「松井知事が同席したのがポイント」とみるのは、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。
「松井知事のベクトルは(出身の)自民党に向いている。派遣法改正案をめぐる審議で、維新が急に民主党など他の野党と距離を置き始めたのも、松井知事を通じて維新の『大阪組』に指令が出ているといわれています。おそらく安保法案でも、自民は松井知事を通じて最終的に維新と修正協議で合意する案を探っているのではないか」
自民にとって、「安保法案」で国民にマイナスイメージの強い強行採決は絶対に避けたいし、そのために野党協力を得て採決した、という格好を取りたい。要するにアリバイづくりには、維新の協力が欠かせないのだ。
「橋下市長が政界引退を表明し、一線から身を引いた今、官邸サイドが維新を“操る”際に利用しているのが松井知事といわれている。タダでさえ維新の『大阪組』は今の執行部のやり方を面白くないと思っていますからね。維新の議員にとって、このまま雲散霧消するのか、それとも与党に協力して存在感を発揮するのかは大きいでしょう。安倍政権はそこに揺さぶりを掛けているのです」(官邸事情通)
自民はもとより、一部の維新議員は国民生活なんて眼中にないらしい。どうやったら自分が生き残るかしか考えていないようだ。まったくバカにした話だが、見逃せないのが、今回の会談が「野党分断」の引き金になる可能性があることだ。
「党最高顧問とはいえ、政界引退を表明した橋下市長が、(国会で与党と対峙している)松野代表の頭越しに首相と会ったワケです。つまり、依然として維新のキーマンが誰なのか、ということを対外的に示すことで、松野代表や執行部に恥をかかせたことになる。これでは党として体をなしているとは思えません。今後、安保法案などで『大阪組』の発言力がさらに増せば、党分裂は決定的。そうなれば野党の足並みも乱れるのは必至です」(前出の鈴木哲夫氏)
こんな簡単に野党が分断されるから、安倍政権が余裕シャクシャクでいられるのだ。
橋下市長は一夜明けた15日午前、自身のツイッターで「民主党という政党は日本の国にとってよくない」「政党の方向性が全く見えない」と批判、同党との連携に否定的な見解を示した。