企業はどうやって密かに値上げするのか?こうです
中身減らし実質値上げ図る米スパイス・メーカー
By PAUL ZIOBRO
2015 年 6 月 12 日 13:32 JST
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マコーミックのコショウ。容器の大きさは同じだが左のほうが中身が減量 The Wall Street Journal
スパイス・メーカーの米マコーミックは今年初め、同じ包装でほぼ同じ価格で25%減量したコショウの出荷を始めた。消費財メーカーは、
洗剤からヨーグルトに至るまで、中身を減らすこうした昔ながらのやり方で実質値上げを行っている。食料品業界では「量減らし」、
トイレットペーパー業界では「枚数減らし」と呼ばれている。
包装の中身を少なくする技術は、専門用語で「非機能性過剰スペース包装」という。ポテトチップの袋を開けて中身が少なくなっている
ことに気づく消費者にとっては耳慣れない言葉だろうが、倹約家の消費者とコストの増加に悩む企業にはなじみがある。
マコーミックは今年初め、赤と白のアルミ大型缶のコショウの量を8オンスから6オンスに、中型缶を4オンスから3オンスに、小型缶を2オンス
から1.5オンスにそれぞれ減らした。連邦規制に従い、減量された新含有量は、缶のラベルに「含有量」として記載されている。
同社のウィルソン最高経営責任者(CEO)は1月、コショウの原料コストが過去5年間急騰しているが、これ以上値上げする余裕は
なかったと、量減らしの理由を説明した。同CEOは「販売価格は、これ以上上げられないぎりぎりのところになっている」と語った。
同社が量減らしをしたことは、古くからのライバル・メーカーのワトキンス社の怒りを買った。ワトキンスは、包装のサイズを変えずにコショウ
の量を変えるのはごまかしであり、ワトキンスを不利な立場に置くものだと批判し、マコーミックは上げ底の包装を規制する連邦法に違反
しているとして、今週同社を提訴した。
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オールドスパイスデオドラントのX線写真。製造元のP&Gはスペースが過剰だと提訴されている The Wall Street Journal
連邦法では運送中に事故が起きないよう商品を保護したり、包装に際してどうしても隙間が出来たりする場合などには、包装の中が
詰まっていなくても許される。しかし、スペースが空きすぎると訴訟の対象になる。
ワトキンスは、マコーミックが同法に違反していると主張し、減量した新しい缶の販売を停止するよう求めるとともに、損害を被ったとして
賠償を請求している。これに対しマコーミックの広報担当は、小売店に事前通告し、包装のバーコードを変える標準的な手続きをとった
と指摘し、「当社の優先事項は、大幅な値上げを避けながら、商品の中身や質を維持することにある」と語る。また、古い缶から新しい
缶に切り替えるには時間が掛かり、スーパーマーケットの棚に両者が混在することもあると説明している。
ワトキンスが訴えの根拠としているのは、商標管理とともに虚偽広告や虚偽行為を対象とするランハム法。弁護士らは、同法を適用
できるかどうかは、分別のある人が騙されるかどうかがカギとなると指摘する。
http://jp.wsj.com/articles/SB11793851007525823752504581042833359982492