その学部、本当に必要? 全国立大に見直し通知、文科省
2015年6月8日19時18分
文部科学省は8日、全86の国立大学に、既存の学部などを見直すよう通知した。
主に人文社会学系の学部と大学院について、社会に必要とされる人材を育てられていなければ、廃止や分野の転換の検討を求めた。国立大に投入される税金を、ニーズがある分野に集中させるのが狙いだ。
国立大には、法人化された2004年度以降、6年ごとに「中期目標」を作って文科省に提出する義務がある。6月末が16年度からの目標案の提出期限で、大学の認可を受けるには、目標が通知の趣旨に沿っている必要がある。
通知は「特に教員養成系や人文社会科学系学部・大学院は、組織の廃止や社会的要請の転換に積極的に取り組む」ことを求めた。
例えば、人文社会系の卒業生の多くがサラリーマンになるという実績を踏まえ、大学は地元で必要とされている職種を把握。需要にあった人材を育てる学部に転換するという想定だ。
文科省によると、自然科学系の研究は国益に直接つながる技術革新や産業振興に寄与しているが、文学部や社会学部など人文社会系は成果が見えにくいという。
国立大への国の補助金は計約1・1兆円以上。子どもが減り、財政事情が悪化する中、大学には、「見返り」の大きい分野に力を入れさせるという考えだ。
産業界などの需要を考慮すれば、結果として理系が増える可能性があるが、文科省の担当者は「文系を減らして理系を増やすという意味ではない」と説明する。
見直した結果、別の文系学部への転換も可能だ。成果が出にくい分野の学部でも、将来の成果を示せれば相応の評価をするという。(高浜行人)
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