By CHIARA ALBANESE and JOHN LETZING
2015 年 6 月 6 日 15:47 JST
【ローザンヌ(スイス)】4月のある朝、イタリア・サルデーニャ島に住むアンドレア・カルーソさん(51)は、ローザンヌのある広場に白いテントを
立ち上げた。テントに飾ったのはサルデーニャ州の旗。ただ真ん中にはスイスの国旗と同じ大きな白の十字架が描かれている。
カルーソさんはサルデーニャ州がスイスに編入され、スイス27番目の州になることを望んでいる。ローザンヌのテントでは、それに興味を
持つ人たちにバッジやシールを渡しながら自分たちの主張を説明した。
カルーソさんはサルデーニャがイタリアの一部ではないと明言する。「サルデーニャ人はスイス人になることを望んでいる」。
「海の州」へようこそ——これがカルーソさんと友人のエンリコ・ナポレオーネ(51)さんがサルデーニャ州のスイス編入を訴える時に使う
スローガンだ。2人の主張はこうだ——サルデーニャ州がスイスに編入すれば、山の多いスイスに海の州ができる。サルデーニャは財政の
健全なスイスの支援で地中海リゾートとしての潜在力を生かすことができる。
ナポレオーネさんも「一方にないものが他方の強みになる。一緒になれば成功できる」と力説する。「スイスとサルディーニャは自然な
組み合わせだ」。
サルデーニャの歴史は、14世紀のサルデーニャ王国にさかのぼる。欧州の覇権争いにもまれた後、1861年にイタリアに併合されたが、
住民の間ではもともと独立志向が強い。人口150万人のサルデーニャ州には、イタリアからの分離独立を求める政党が10以上も存在
する。どこもサルデーニャの文化や言葉、歴史がイタリア本土と異なると訴えている。ただこれまで本格的な独立運動には至っていない。
カルーソさんとナポレオーネさんは高校の同級生で、スイス編入案をセーリング中に考え出した。「海の州」というコンセプトを思いついた
のは3年前のことだ。サルデーニャ州のエメラルド海岸が1960年代、アラブの大富豪アガ・カーンの開発で高級リゾート地に生まれ
変わったように、スイスの富裕層の支援でサルデーニャ全体を生き返らせたいと切望する。
カルーソさんは「自分の子どもや将来の世代のためにやっている」と話す。「スイスこそ、私たちの文化と伝統を保護するのに理想的な
国だ」。
2人はそれぞれ1万ユーロ(約140万円)をつぎ込み、フェイスブック上のファンページの管理に1日数時間を費やす。「くだらない」との
メッセージも受け取るが、スイス国旗とサルデーニャ州旗を合体させたロゴのTシャツやグッズ販売でこれまで数千ユーロを集めた。ファンの
数は数千人に上る。
続きhttp://jp.wsj.com/articles/SB11098407163782254164904581029242583960356
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-IQ490_SARDEX_G_20150528161158.jpg
イタリアからの分離とスイスへの編入を目指し行動しているカルーソさん(左)とナポレオーネさん Chiara Albanese/The Wall Street Journal
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-IT746_HCGT65_NS_20150605065142.jpg
2人の提案した新しい州の旗のイメージ