By ISABELLA STEGER
2015 年 6 月 4 日 17:55 JST
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「蚊サイズのアパート」と揶揄される香港の狭小マンション。米国の標準的な駐車スペースとさほど変わらない
Billy H.C. Kwok for The Wall Street Journal
【香港】不動産業者は16.7平方メートルの部屋を案内しながら、基本的に全ての家具はカスタムオーダーになると説明し、窓枠は
テレビを置くなど、「エンタテイメント」のスペースとして利用可能だと話した。
「ハイプレイス」という団地にあるその部屋の広さは、米国の標準的な駐車スペースとさほど変わらない。5月にはほぼ400万香港ドル
(約6400万円)で販売契約が成立したという。
住宅は狭苦しいのが当たり前の香港だが、そのマンションのサイズはますます小さくなっている。新しい団地の一部は、あまりの狭さ
から「蚊サイズのマンション」と揶揄される。
香港のマンションが信じられないほど狭くなっているのは、住宅不動産の価格が世界中の大都市で上昇しているという広範なトレンド
の一環だ。投資家はそうした物件を低利回りの債券よりも有利な投資と捉えている。
裕福な外国人投資家が安全な資産の保管場所を探していることもあり、ロンドンやニューヨークと同様、香港でも住宅不動産の
ニーズは高まっている。香港の場合、投資家の大半を占めているのは中国本土の買い手だ。そうした投資家は高級物件を狙って
いるが、香港の不動産市場全般の価格高騰を招く要因になっており、単に住む場所を探している人々にとっては災難な状況だ。
政府は価格の抑制を繰り返し試みているものの、香港の物件価格は上昇し続けてきた。政府のデータによると、私有住宅不動産の
平均価格は、2011年の3四半期の低下と政府が不動産価格抑制策を強化した後に起きた2013年の軽度の調整を除くと、2009年
から上昇傾向にあるという。
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左、香港のサイズ別マンション平均価格の推移。右、香港の平均世帯所得と平均不動産価格の増加率
こうした価格の上昇は多くの大都市で買い手に重圧をかけたが、香港のそれはどこよりも大きかった。米国のシンクタンク、デモグラフィア
は平均所得と平均住宅価格を比較した最近の研究で、住宅価格が世界で最も法外な都市に香港を選んだ。香港の平均住宅
価格は平均年収の17倍であり、第2位となったバンクーバーの10.6倍を大きく上回っている。ニューヨークは6.1倍で7位だった。
(以下略)
http://jp.wsj.com/articles/SB11098407163782254164904581027103656960820