MERS:自宅隔離の144人が無断外出/ソウル
市「見張るわけにいかない」、MERS感染者管理に「穴」1人に1担当者でも直接訪問は週1回だけ
16日午前11時ごろ、ソウル市西大門区保健所が大騒ぎになった。
中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)感染で自宅隔離対象者となっているキムさん(23)が家にいなかったからだ。
キムさんを担当している保健所職員は同日午前10時ごろ、
電話で本人から「家にいる」と聞いたため、生活用品を渡すためにキムさんの家に行った。
ところが、いくらチャイムを鳴らしても返事がなく、電話もつながらない。
結局、保健所で警察にキムさんが無断でいなくなったことを通報、携帯電話で位置追跡をしたところ、仁川沖にいることを確認した。
キムさんは「息が詰まりそうで釣りをしに来た」と言った。
ソウル市ではMERS感染による自宅隔離対象者に対し1対1で担当者を付けているが、
無断で家を抜け出すケースが続出しており、頭を痛めている。
6日から16日までにソウル市内だけで144人の無断外出者が発生した。
同市の自宅隔離対象者数は17日現在で1868人に上る。
韓国全国では2日から10日までで合計132人の無断外出者が警察により発見された。
朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が4日午後にMERS対策緊急記者会見を開いて以降、
ソウル市では自宅隔離対象者に対し1対1の管理を開始した。
区保健所職員が自宅隔離対象者の管理者として1対1で割り当てられ、
一日2回の電話で所在地を確認して週に1回訪問、生活用品を渡すことにしたものだ。
1対1での管理 実施初期に自宅隔離対象者が700人に達した江南区では、保健所職員だけでは人員不足となり、区職員の半数も投入された。
問題は、1対1の管理でも自宅隔離対象者が実際に家にいるかどうか分からないことだ。
担当職員は毎日午前と午後の1回ずつ、自宅隔離対象者に電話をかけて所在地を確認しているが、
絶対に自宅の電話に連絡しなければならないという規則はない。
携帯電話で話して「家にいる」と言っても、実際には外にいる可能性があるのだ。
生活用品を届けるために自己隔離対象 者の家に行く際も、感染の危険があるため直接会うことは避けている。
生活用品をドアの前に置いて電話をかけ、受け取るように話すのだ。
こうした問題が相次いでいるものの、区ではこれといった対策がないとしている。
区関係者は「自宅隔離対象者の家の前で職員が毎日見張りをするわけにもいかないではないか」といら立ちを見せた。
ソウル市関係者は「当初は自宅隔離対象者が応じないケースが多かったが、
司法処理になるかもしれないことが伝えられてからは無断外出は減っている。
不便だとは思うが、それでも地域社会を守ろうという市民意識が必要だ」と語った。
キム・ヒョイン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
2015/06/18 10:26
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/18/2015061801146.html