G7:南沙埋め立て「強く反対」対中姿勢で一致
【エルマウ近郊(ドイツ南部)・和田浩明、ミュンヘン坂口裕彦】ドイツ南部エルマウで開催されている
主要7カ国首脳会議(G7サミット)は7日夜(日本時間8日朝)の夕食会で、外交・安全保障分野の議論を行った。
中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で続ける大規模な岩礁埋め立てや威嚇など一方的な行為に「強く反対する」ことで一致した。
岩礁埋め立てを「軍事目的」と認める中国に対して、国際法に基づいた紛争の平和的解決を求めるG7の姿勢を鮮明にした。
G7は4月の外相会合で「海洋安全保障に関する宣言」を発表。
中国の名指しは避けながら、 大規模埋め立てなどに懸念を示していた。
夕食会ではこの宣言を踏まえ、議長のメルケル独首相が、安倍晋三首相に発言を要請。
安倍首相は「東シナ海、南シナ海での一方的な現状変更の試みは放置してはならない」と強調し、多くの首脳が賛意を示した。
G7サミットの開幕を受け7日、エルマウ近郊で記者会見したアーネスト米大統領報道官も、
中国が岩礁埋め立てを進める南シナ海の情勢に関して
「(航行の自由など)自由な通商が阻害されれば、世界や米国だけでなくG7諸国の経済にも否定的な影響を及ぼす」と述べ、
米国としての懸念を改めて強調した。
米国は中国による埋め立ては「地域の緊張を高める」などとして即時・持続的な停止を要求。
米軍艦船や航空機による現場付近の哨戒活動も継続する意向だ。
ただし、G7首脳宣言などの文書 で、中国の活動を念頭にした海洋安保問題がどう取り上げられるかに関し、
アーネスト氏は「現時点では分からない」と述べるにとどめた。
また、夕食会では、親ロシア派武装勢力と政府軍との紛争が激化しているウクライナ情勢について、
2月のミンスク合意(停戦合意)の「完全履行」を求める方針で一致。
ロシアへの制裁は、合意が完全履行されない限り、継続する方針を確認した。
G7として、制裁と合意を明確に関連づけたのは初めてとなる。
北朝鮮の核・ミサイルの開発継続や拉致問題も非難することで合意。
イラン核交渉で、イランと国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国が4月に「枠組み合意」に達したことを歓迎し、
6月末が期限となる包括合意に向けた外交努力への支持も確認した。
G7首脳は8日も気候変動問題やイスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)対策などの議論を続け、
同日中に首脳宣言を採択して閉幕する。
毎日新聞 2015年06月08日 10時47分
http://mainichi.jp/select/news/20150608k0000e030137000c.html