「『教育』が危ない」
第三回 まず「ダメ親」にメスをいれよ
教育現場に足を運ぶ度に、信じ難い大人の姿を見てしまう。無論、大概の親や教師は常識を弁えた人々であろう。
しかし、非常識な大人が余りにも多くなり、教育現場が振り回されているのも事実である。
1983年から20年間、大阪市内で3つの公立中学校の教師を務めた原田隆史氏が自身の体験を語った。氏は現在、原田総合教育研究所所長を務める。
「おかしな親の例は沢山あります。中1の女子生徒の父親は或る日、娘が3カ所も蚊に刺された、学校としての責任をとれと電話で抗議してきました」
保健体育の教師だった原田氏は全校生徒の生活指導も担当した。
長年の経験で、挨拶をする、遅刻をしない、忘れ物をしないという類の日常生活の基本を身につけることが、生徒の人間形成に大きな影響を及ぼすことを氏は知っている。
3校目では、当初、授業を担当した80人の生徒のうち、30人もが遅刻をした。忘れ物は100件を超えた。そこで氏は、遅刻した生徒を正座させた。
すると親が怒鳴り込んできた挙句、新聞に連絡した。「体罰教師」と書かれた氏は、保護者集会で「辞めろ」と糾弾された。
また別の日、生徒が万引きでつかまり、呼び出された親は神妙に謝って弁償した。だがそのあと親は態度を豹変させた。
普通は、詫びて店に返すのが当たり前だが、この親は代金さえ払えばよしと考えたのだろう。万引きした商品を家に持ち帰った。
長野県旧真田町(現在上田市に合併)の大塚貢教育長は、町の公立小学4校、公立中学2校の教育改革をやり遂げたことで知られる。その方法のひとつが給食の大改革だった。
育ち盛りの児童・生徒の給食を野菜や地元の食材を豊富に用いて、ご飯食に変えた。親が朝食を作ってくれなくても給食でその差を補ってやるとの意気込みで取り組んだ。
荒れた学校の児童・生徒もバランスのとれた栄養豊かな食事を摂ることで心身ともに落ち着き、この4年余り、どの学校でも問題は起きていない。すると、保護者から要望が出された。
「朝食も学校給食で食べさせてやってほしい」と。
略
http://yoshiko-sakurai.jp/2007/03/15/570