セイコーエプソン時計組立・調整工の小松郁清さんの神業 「技があるからこそ、人は時計の魅力にひかれる」
〈長野〉セイコーエプソン塩尻事業所(塩尻市)の時計組立・調整工の小 松郁清(いくきよ)さん(51)は、自らの専門技術を後進に伝えるべく奮闘している日本を代表する職人だ。
平成26年には技能者の地位と技能水準の向上を図るために厚生労働相が表彰する「現代の名工」に選ばれるなど、 その実績は高く評価されている。
「惜しみなく全てを伝えたい」と、日本が誇る技術の伝承に情熱を注ぐ。
純国産の手作り時計として有名な同社最高峰ブランド「グランドセイ コー」の機械式腕時計は、工程の複雑さから通常の時計作りの10倍の時間 を要する。
直径3センチ、厚さ1センチほどの本体の中には100を超える部品が納まり、最も小さいねじの直径はわずか0・5ミリ。
その時計の要で時を刻む心臓部「ひげぜんまい」の調整作業は「神業」と称され、社内でも小松さんを含めた数人しかできない。
ひげぜんまいは、らせん状の曲線形で厚さはわずか0・03ミリ。
右回りと左回りの往復回転運動を続け、その動力が歯車を通して針を動かす。
その隙間にやすりがけをした自前のピンセットを入れて形を整え、特殊なはさみで長さを調節する。
1ミクロン(1000分の1ミリ)の精度と長時間の集中力が要求される。
「部品一つ一つに は必ず役割があるから、一つのミスも許されない」と強調する。
時計の組み立てに興味を持ったのは小学校低学年の時。
セイコーエプソンの前身、諏訪精工舎の時計職人だった父の清美さんが自宅の工房で、時計を分解したり修理したりする姿をいつもじっと眺めていた。
「父は時計のことは話さなかったが、いつも楽しそうに作業に没頭していた。自然とやってみたいという気に なった」。
以下ソース
http://www.sankei.com/premium/news/150530/prm1505300001-n1.html