<デング熱>過去最多ペース…海外感染で発症80人に
毎日新聞?5月25日(月)10時56分配信
蚊が媒介する感染症・デング熱に海外で感染して日本で発症した患者報告数が10日現在で今年80人に上り、1999年の調査開始以降、過去最多のペースになっている。昨年は国内感染例が約70年ぶりに確認され、国内患者数は計162人に上った。東南アジアではデング熱の流行が続いており、海外からウイルスが持ち込まれるケースが増えるほど国内感染の危険は高まる。専門家は「蚊の発生時期を迎え、警戒が必要だ」と呼びかけている。【藤野基文】
【例年より2カ月早く】デング熱対策、東京都が蚊調査
◇「どこでも流行の可能性」
昨年、感染源となった代々木公園を所管する東京都は4月、代々木公園のほか上野公園、日比谷公園など人の集まる9公園で蚊の採取を始めた。デングウイルスの保有の有無を調べ、陽性の蚊が見つかればホームページなどで公表する。側溝などの水をすくって幼虫の発生状況も調べ、成虫になるのを防ぐ薬剤も散布する。
7月には医療機関向けの研修も行う予定で、今年度のデング熱対策費はワクチン開発と併せて2億1000万円に上る。
ただ、デング熱の感染源が昨年と同じ都内になるとは限らない。ウイルスが卵を介して親から子に受け継がれ、翌年の流行につながった例はなく、今年も国内感染があるとするなら、海外から新たに持ち込まれるウイルスが感染源になるからだ。
国立感染症研究所昆虫医科学部の小林睦生・名誉所員は「ウイルスを媒介するヒトスジシマカは、年平均気温が11度以上の秋田・岩手両県以南に高い密度で生息しており、どこで流行してもおかしくない」と指摘する。
「実は見落としてきただけで、これまでも小規模の国内流行は起きていた」とみる専門家もいる。
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