つづき
裁判官「具体的に暴力とか脅迫とかされたとか、そういうのは……」
弁護人「何を言っても、“君の言っていることはこうだ”と書 きかえられて、自由にできなかったというのが……」
裁判官「ただね、任意性のご主張をされるのはいいんですけど、一部不同意なんですよね、弁護人のご意見は。
調書のこの部分はよくて、この一部はダメってのがね、あまり聞いたことがないんですよね。それってわけられる話なのかなぁって。
取り調べで脅迫等があったとおっしゃっているわけですから、この部分はいいとかじゃなくて、すべてを不同意にした方が……。
ご検討の上、次回でもご意見いただけますでしょうか」
例えば、今回の取調べ中に被告人が殴られて言いたくないことを言わされたり、言ってもいないことが文字に残されたとしたら、
取り調べ自体が違法なんだから、一部だけを認めるってのは変ですよねって、裁判官が弁護人にレクチャーしてるんですよ。こりゃ、面白い。そして、
裁判官「そうなると、どの部分に争いがあるのかわからないので、動機の部分なのか、犯行の状況なのか。
そこがわからないと進められないので、先に被告人に直接聞いてから進める方法もあると思うんですね」
と、突然の被告人質問スタートです。
しかも、ここで被告人質問するということは、追起訴はほぼ無し。
報道では余罪がたくさんあるような記事だったけど、余罪があれば、普通は検察官がこのタイミングで言うので、起訴は本件の2つだけとなりま す。
裁判官「では、弁護人から」
そう言われると、もじもじしながら女性弁護人はゆっくり立ち上がって、
弁護人「いや……今日は準備が……」
え? 確かにサプライズ的な被告人質問だけどさ。
裁判官「……じゃあ、私が! あなたが取り調べでしゃべっ た内容と、調書に書いてある部分で違っているのはどこですか?」
被告人「例えば……。仕事としてドロボーをしていたと調書にはありますが、それは違います」
裁判官「実際はなんて言ったんですか?」
被告人「犯罪を仕事にしていたということはなかったので……そういうのは……」
裁判官「調書には、借金があって何回も繰り返したと書いてますけど、これも違う?」
被告人「……あ……はぁ……」
とても元自衛官とは思えないか弱き返答。しゃべりにくそうな 態度を見せ、
裁判官「一応、起訴されているのは2つだけなので、仮に起訴されていないことをしゃべったとしても、本件が重く裁かれたりしませんのでね」
と、刑事裁判のルールを説明です。
被告人「……すいません。うまく説明できません」
裁判官「そうですか……。どうしましょうかねぇ……」
と、多くを語らない被告人に困惑していると、
弁護人「あの……、これ、言ってしまっていいのかわかりませんけど、えっと……追起訴が予定されていると……」
裁判官「え?そうなんですか?」
抜粋してます。全文は
阿曽山大噴火の裁判傍聴記「裁判Showへ行こう」
http://www.nikkansports.com/general/column/asozan/news/1481071.html