伊教授が女体の神秘に関する論文発表 不毛な議論に終止符か
女性の「Gスポット」の存在の有無は長年の論争となってきた。2006年、イタリアの研究者ビンチェンゾ・プッポ氏は「Gスポットは存在せず、すべての女性はクリトリスでオーガズムに達する。
膣内オーガズムはあり得ない」とする研究成果を『クリニカル・アナトミー』誌に発表した。
2010年にはイギリスのキングス・カレッジ・ロンドンの研究グループが23~83歳の約1800人の双子の女性を対象に聞き取り調査を行なった。
DNA、血液型、性別が同じである一卵性双生児であればGスポットの有無が一致しているはずなのに「Gスポットがあるか」の問いにバラバラの回答をする双子が多かったため、
Gスポットの存在が否定されたと結論づけた。
(略)
2008年にイタリア・ラキラ大学のエマヌエーレ・ジャンニーニ教授はイギリスの『ニューサイエンティスト』誌で、「Gスポットは女性全員に備わっているわけではない」とする論文を発表した。
ジャンニーニ氏は「膣内オーガズム経験のある」女性9人と、「膣内オーガズム経験のない」女性11人の膣内を、超音波診断装置でスキャニングして調査。
その結果、Gスポットエリアである膣前壁の組織の厚さにはっきりと違いが見られた。経験者が12.2ミリから12.9ミリだったのに対し、非経験者は9.9ミリから10.6ミリ約2ミリもの差があったのである。
その差がGスポットの有無によるものとする説である。
ジャンニーニ氏は昨年も注目を集める論文を『ネイチャー・レビューズ・ウロロジー』誌に発表した。
Gスポットに代わる「CUVコンプレックス」という新しい概念を提唱したのだ。現在はローマのトールベルガータ大学で教鞭をとるジャンニーニ氏が説明する。
「ウィップル博士のGスポット理論は大変素晴らしいのですが、その名称に問題があります。膣内オーガズムはたくさんの要素が集まって起きるものです。
女性を絶頂に導く究極の場所はスポットという“点”ではなく、陰核(Clitoris)、尿道(Urethra)、膣(Vagina)の複合体(Complex)による立体的な領域なのです。
CUVコンプレックスという新名称を普及させることで、『膣を解剖しても見つからないからGスポットは存在しない』といった誤解に基づいた不毛な論争に終止符を打ちたい」
膣内オーガズムが複雑な要素で成立するという点についてはウィップル氏もジャンニーニ氏と同意見だ。
「私は1982年時点ですでに、Gスポットが血管やスキーン腺、神経末端、膀胱頸部やその周囲組織などによる複雑なネットワークで構成されていると指摘しています。
膣を解剖して見つけようとした研究者はこれまでにもいましたが、Gスポットは膣壁に存在するわけではなく、膣壁越しに触れられるものなのです」
そういってウィップル氏は記者の手をとり、掌を膣壁に見立てて中央部分を指で押し、「こうして快感を感じるのです」と説明した。
ただし、そうした最新研究は研究者の間で広く共有されていないようだ。2012年にはGスポットの存在を初めて解剖で確認したとする米国の婦人科医の論文が発表された。
83歳女性の遺体を解剖し、膣前壁から「明らかに独立した嚢状の組織」を摘出したという内容だったが、専門家からは「1事例に過ぎない」とその成果を疑問視された。
http://www.news-postseven.com/archives/20150521_323158.html