シリア政府が拘束している「イスラム国」元戦闘員を取材しました。
2015/05/20
過激派組織「イスラム国」が勢力を拡大する中、FNNは、シリア政府が拘束している「イスラム国」の外国人戦闘員を取材しました。
一方で、主要都市の奪還に向けて、イラク政府は、武装民兵3,000人を招集しました。
このことが、新たな混乱を招く危険性も指摘されています。
FNNは、シリア政府が拘束した過激派組織 「イスラム国」の外国人戦闘員を取材することに、海外メディアとして初めて成功した。
手錠を解かれ、目隠しを外された2人は、まだあどけなさの残る、キルギス共和国出身の若者だった。
キルギス出身の元「イスラム国」戦闘員は「とても後悔している。わたしは、うそをつかれていた」と話した。
後悔を口にする2人は、なぜ「イスラム国」の戦闘員になったのか。
エジプトの大学に留学していた2人は、あるイスラム教指導者の影響で、シリアに入ったという。
元戦闘員は、「(シリア)政府軍が、人々を殺しているから、シリアでジハードをしなければ ならないと呼びかけていた」、「わたしは、シリアの人々を助けに行きたいと思うように なった」などと話した。
信仰心につけ込まれて、気づけば銃を持たされていたという2人。
高額な給料を約束し、外国人戦闘員を集めているとされる「イスラム国」だが、それぞれ看護師・通訳として主に活動していた2人の給料は、わずか50ドルだったという。
元戦闘員は「もし、給料が足りない人がいたら、別の人がお金をあげて助けていた」と話した。
見せてくれたのは、イスラム国の旗と、スタンプが押された「通行証」。 支配地域を移動するために必要だという。
元戦闘員は「わたしは、彼ら(『イスラム国』) が、人々を殺していることを知った。決して、ジハード(聖戦)に戻ることはない」と話した。
一方、取材班が訪れたのは、「イスラム国」 が支配するラッカから、およそ120kmの町・アスリーヤ。
このすぐ先は、「イスラム国」の支配地域となる。 シリア政府側と「イスラム国」との間では、 意外なほど人や物資の往来が多いが、「イスラム国」の支配地域で暮らす人たちの口は重い。
ラッカから来た人は「このように、たばこを吸っていたら、指を切られる」と話した。
ラッカに向かうバスの中では、黒いベールや 手袋を装着する女性の姿があった。
ラッカへ向かう女性は「もし、ちゃんと着ないで外に出ると、罰として、むち打ちの刑を受ける」と話した。
一方、イラクでは、中西部の主要都市・ラマディを制圧した「イスラム国」。
およそ100km離れた首都・バグダッドへも、 侵攻の構えを見せている。
イラクのアバディ首相は、直ちにラマディ奪還作戦を行う構えだが、その主力であるイスラム教シーア派の武装民兵には、ある問題がある。
このシーア派民兵は、イラク北部の重要都市・ティクリートを、「イスラム国」から奪還した時の立役者だが、もろ刃の剣でもある。
ショッピングカートや音響機器を運びながら、笑顔を見せるシーア派民兵。
この地域は、対立するスンニ派の住民が大半で、当時、シーア派民兵が、ティクリート奪還後に略奪行為を行った。
中東情勢にくわしい、放送大学の高橋和夫教授は「シーア派の民兵の力で、この地域を制圧しても、スンニ派の人々の不満が残るかぎり、もう一度、火が燃え上がって、『イスラム国』のような問題が起こってくる」と語った。
http://www.fnn-news.com/sp/news/headlines/articles/CONN00292785.html