西村氏は05年8月、安倍氏が首相になる直前に病のため死去したが、死を予感したのか
「戦争経験を、戦争を知らない世代に伝えることが 最後の仕事」と、右傾化する風潮を憂い警鐘を鳴らし続け、
甥にあたる安倍晋三氏には自制するよう諭す「遺言」のような内容の文章を遺している。
西村氏は、安倍氏が植民地支配や侵略行為に深い反省の念を表明した「戦後50年の国会決議 」に欠席し、
村山談話に曖昧な態度をとっていることに懸念を示した。
安倍氏のタカ派路線の危うさを「偏狭なナショナリズムを抑えるのが政治家なのに、晋三は逆 に煽っている」と諌め、
「靖国参拝の正当化は国内では通っても、国際的には通用しない」と痛烈に批判していた。
また安倍氏の言葉の「歯切れよさ」や「明快さ」の裏は「空虚」で「軽」く意味不明と指摘し 、
「晋三は「裸の王様」になっている」と断じた。
さらに、「テレビに出る回数が多く、若いとか、格好がいいとかで
国の総理が人気投票的に選ばれることだけは絶対避けなければならない」 (『論座』2006年7月号)と自民党批判と併せて迎合するメディアを批判した。