■ 熾烈な出店競争がオーナーを圧迫
コンビニ業界は小売りの“勝ち組”とされ、熾烈な出店競争が繰り広げられている。
日本フランチャイズチェーン協会の統計によるとここ3年ほどは毎年2500店近いペースで店舗が増え、日本には約5万2000店ものコンビニが存在する。
一方、客の奪い合いにより、1店あたりの売上高は前年を下回っているチェーンがほとんどだ。
店の売り上げが落ちることは、すなわち、各オーナーの手取りが減ることを意味する。
「お休みを取ることはできないんですか」「できないです。身内で不幸でもない限り休めません。泊まりがけの旅行もできません」
これは2014年7月、都労委の審問で交わされたオーナーと弁護士のやりとりだ。オーナーは、
兵庫県でファミマを営む酒井孝典さん。ユニオンの執行委員長でもある。
弁護士:自分たちが店に立たずに、店を運営することはできないのですか。
酒井:従業員だけで店を回すと、人件費があまりにもかさんで運営できない。
弁護士:今は一日どれくらいの売り上げですか。
酒井:40万円前後です。オープン後、一時的に55万円くらいまで上げることができたのですが、
その途端に800メートルぐらい先にファミマができて、一気に38万円くらいまで下がってしまいました。
こんな事例がある。東京都でファミマを営む盛山教也さんは昨年4月、担当の指導員からメールを受け取った。
「おでん台の上にフードパックを12個以上展開した写真を本日中に私の携帯に送付してください。もし送付がない場合は、今後の見切り販売伝票をいっさい受け付けません」。
指示通りにしなければ、値引き分を本部は負担しない――こう圧力をかけられても、本部の言いつけを守らないオーナーは、少ないのではないだろうか。
激しくシェアを争うコンビニ各社にとって、オーナーの確保は死活問題でもある。「オーナーが見つからなくて出店が滞ったチェーンもある。
実際うちにも、セブン以外は『誰か紹介してくれないか』と皆相談してくる」(三橋氏)。
これ以上、“コンビニビジネスは過酷”というイメージが根付き、加盟希望者が減るのは厳しい。
http://toyokeizai.net/articles/-/68462