兵庫県高砂市米田町の「沖縄小林流 妙武舘岸本道場」で、ダウン症や自閉症の青少年らが空手の技を磨いている。
競技歴10年の高山智文さん(19)=同市荒井町=が黒帯を獲得するなど、
障害がある中学生から20代までの7人が、スポーツをできる喜びをかみしめながら切磋琢磨している。(井上太郎)
同道場には約20人が通っている。高山さんらは会社員や主婦らに交じり、週2回の練習に励む。
正拳突き、手刀、蹴りの所作が力強い。「今日は気合入っとんなぁ」と周囲にちゃかされた高山さんは、
一通りの型を終えると「いつもいつも」と応え、顔をほころばせた。道場通いの中で、コミュニケーションは楽しみの一つだ。
市内の作業所に通う高山さんは先天性のダウン症。
中学時代は3年間、テニス部に所属したが、先生の配慮で、練習は他の部員とは別メニューを用意された。
自分のペースで練習に取り組み、上達できたのは小学4年で始めた空手だった。
中学からのライバルで茶帯の大内壮太さん(19)=同市曽根町=もダウン症で、道場で汗を流す仲間。
大内さんは特別支援学校のとき、サッカー部入りを断念した経験を持つという。
高山さんは今月1日、道場で師範らが見守る中、練習の成果を出し切り、初段に合格。
大内さんは先輩の快挙に「うれしいけれど悔しい」と今まで以上に練習に打ち込み、自閉症の男性(19)も後を追う。
指導する正木知子さんは「集団競技は難しくても、運動を続けたいと相談に来る人は多い。
習熟に個人差はあるが、みんなよく頑張っている」と話す。
高山さんは「何でもトライ。これからは帯の色に恥じないようにしないと」と気を引き締めた。
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