大阪市議会:進むか地下鉄民営化 自公が議論前向き
大阪市の橋下徹市長が目指した市営地下鉄・バスの民営化について18日、市議会の野党から前向きに検討する声が上がり始めた。
「大阪都構想」の住民投票が終わり、橋下市長が政界引退を表明したことで、民営化そのものを否定しない自民と公明には強く反対する理由がなくなったとみられる。民営化論議が進む可能性も出てきた。
市営地下鉄・バスの民営化は橋下市長が2011年の市長選で公約した主要政策だ。市交通局によると、計画では地下鉄事業を市の100%出資の株式会社に引き継ぎ、バス事業は外郭団体に譲る。
ただ、実現には市議会(定数86)の3分の2(58人)以上の賛成が必要。大阪維新の会の議席(36人)だけでは足りず、自民(20人)や公明(19人)の協力が不可欠だ。
橋下市長は13年に民営化の議案を出したが、市議会は「時期尚早」などと5度にわたって継続審議とし、14年11月に否決した。
自民や公明には民営化の必要性を指摘する意見もあるが、「橋下市長の手柄にしたくない」との思惑もあり、議案に賛成しなかった。
しかし、17日の住民投票を終えて風向きが変わりそうだ。自民党市議団の柳本顕幹事長は18日、
「民営化を完全に否定しているわけではない。今の拙速な案ではなく、民営化に至る手続きをしっかり定めた条例案を出してもらえれば前向きに検討できる」と語った。
民営化自体には賛成する考えを示してきた公明市議団も軟化する可能性がある。
業者との不適切な契約が問題になった藤本昌信交通局長の辞職を自民、公明など野党側は求めており、ある議員は「藤本局長が辞めれば民営化の議論に応じてもいい」と話している。
ただ、藤本局長の進退を含め、橋下市長と野党側の議論がすぐにはかみ合わない可能性もある。市幹部は「双方の感情的な対立がなくなっていれば、民営化論議が加速する可能性がある」と推測している。
http://mainichi.jp/select/news/20150519k0000m040140000c.html