ヤミ簡宿:運営会社など家宅捜索 覚醒剤密売拠点か
2015年05月12日
大阪市西成区のあいりん地区で許可なく簡易宿泊所(簡宿)を営業したとして、大阪府警が、「アパート新和」(西成区萩之茶屋2)を運営する神戸市の不動産会社など数カ所を旅館業法違反の疑いで家宅捜索したことが、捜査関係者への取材で分かった。
今年1月にはここを活動拠点にしていた覚醒剤の密売人らが逮捕されており、府警は「ヤミ簡宿」の本格的な摘発に乗り出した。
捜査関係者によると、アパート新和は6階建てで、大阪市の許可を得ずに客から宿泊料を受け取る簡易宿泊所として営業していた疑いが持たれている。
一部はアパートで、空き室が簡宿だったという。
府警は先月21日に関係先を捜索し、押収した資料の分析を進めている。
旅館業法は、都道府県や政令市から営業許可を得た簡宿などに対し、客の氏名や住所、職業などを宿泊者名簿 (宿帳)に記帳させることを義務づけている。
しかし、ヤミ簡宿では宿帳の記帳を求めず、客は簡単かつ安価で部屋を借りることができる。
宿側には、多くの客を取り込める上、営業実態を調べる保健所の定期検査を免れる狙いがあるとみられる。
アパート新和を巡っては昨年5月、情報提供を受けた大阪市が立ち入り調査を行った。
不動産会社に是正を指導したが、その後も違法営業が続いていたという。
府警は今年1月、宿泊客や管理人ら男女計8人を覚せい剤取締法違反や大麻取締法違反の疑いで逮捕。
うち6人が起訴された。
覚醒剤などの保管や電話で注文を受ける拠点になっていたとされる。
アパート新和の関係者によると、不動産会社は約5年前から、ブローカーらがあっせんした生活保護受給者を入居させるアパート経営を始めた。
当初約100室は満室だったが、同業者同士の客の取り合いが激しく、数カ月後には約3割が空き室になった。
関係者は「この頃から1泊1500円のヤミ簡宿を始めた。上から『稼働率を100%にしろ』と圧力をかけられ、怪しい人をどんどん泊めた」と話した。
府警は、あいりん地区では他にも複数の簡宿が同様の営業をしているとみて取り締まりを強化する方針。
http://mainichi.jp/select/news/20150512k0000e040226000c.html