脂肪分の多い食事を続けても、体内にある特定のたんぱく質をなくすと太らないことを、
京都大などのグループがマウスを使った実験で確かめた。人間に応用できれば、肥満対策につながる可能性があるという。
英科学誌サイエンティフィック・リポーツに8日発表した。このたんぱく質は「ニューデシン」と呼ばれ、脂肪組織などから分泌される。
研究グループが存在を10年前に確認していたが、体内での働きは不明だった。人間でもこのたんぱく質が作られているとみられる。
遺伝子を壊して、ニューデシンを作れなくしたマウスを観察すると、普通のえさではやせてしまうことを発見。
高脂肪のえさを16週間与えると、正常なマウスの体重は平均で約41グラムになったが、このマウスは平均約32グラムにとどまった。
詳しく調べると、脂肪組織で脂肪の分解と燃焼が明らかに多く、体温が0・5度前後高かった。
運動量や食べる量は正常なマウスと変わらず、やせること以外で目立った変化はなかったという。
グループの木村郁夫・東京農工大特任准教授は
「ニューデシンが働く仕組みが解明できれば、肥満を抑える薬の開発につながる可能性がある」と話している。(阿部彰芳)
http://www.asahi.com/articles/ASH514PT8H51PLBJ001.html