【1強の足元】
稲田朋美政調会長 気配り欠かさぬ首相の秘 蔵っ子 腹心不足ゆえの失敗も
2015.5.7
安倍晋三首相が「初の女性首相」候補として目をかけている自民党の稲田朋美政調会長は、第2次安倍内閣発足時に
行政改革担当相となり、昨年9月には党三役に抜擢された。党内には嫉妬とやっかみが渦巻くが、女性らしい気配りと
持ち前の粘り強さで何とか切り盛り。二階俊博総務会長と親密な関係を築くなどリーダーの片鱗をみせる。「トップへの道」
を歩む続けることはできるのか-。
「日本の名誉を守るためにも、いわれなき虚偽にはきちんと反論する」
欧州3カ国を歴訪中の稲田氏は5日、ベルギーのルーバンの大学で講演 し、こう語気を強めた。
稲田氏の念頭には、慰安婦問題に関する過去の一部報道を取り消した朝日新聞がある。
政調会長としての初外遊の狙いは、慰安婦問題をめぐる誤った情報を正すことにある。
党内にも「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」も立ち上げ、情報発信のあり方についても検討を進めてきた。
こうした言動を影で支えてきたのが安倍首相だ。首相は党幹事長代理時代 の平成17年8月15日、靖国神社の境内に
いた稲田氏に電話で「郵政解散」に伴う衆院選への出馬を打診し、稲田氏を政界に招き入れた当事者。稲田氏も「一番の
相談相手は安倍首相」と漏らすほど信頼を寄せている。
自民党幹部は「首相は、かつて小泉純一郎元首相に育てられたように、将来の首相候補として稲田氏に目をかけている」
と語る。
稲田氏の強みは首相との関係だけではない。要所で見せる気配りも味方を増やす武器となっている。
全国農業協同組合中央会(JA全中)を一般社団法人化する農協改革をめぐり、党内議論が大詰めを迎えた今年1月末、
稲田氏は国会内の参院幹部の部屋を訪れた。平成28年夏の参院選で改選を迎える議員が「農協票」離れを恐れ、参院
幹部も農協改革に難色を示していたからだ。
稲田氏は部屋を訪れるなり、行きつけの西洋菓子店のシュークリームを手に「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。
反対派の急先鋒だった幹部もこれには相好を崩し、以降表立った発言を控えるようになったという。
[中略]
稲田氏も「首相候補」としての自覚を持ちつつあるようにみえる。3月下旬、都内での講演で首相への意欲を問われ、
こう答えた。
「すべての政治家が最終目標を首相に置いている」
http://www.sankei.com/politics/news/150507/plt1505070004-n1.html