五月病、自分責めないで ストレスとの向き合い方 医師が語る
カナロコ by 神奈川新聞?5月6日(水)7時6分配信
1日に20件は届くというメールでのメンタルヘルス相談にも応える山本医師=横浜市港北区
就職などで新生活を送る社会人がひと息つける大型連休。その連休明けに現れる心身の不調が五月病だ。近年は職場にいる間だけ気分が落ち込む新型うつも目立ち、いずれも悪化すれば本人も企業も苦しむ。専門家は「企業は能力を認めてあなたを採用している。だから自分を責めないで」と話し、日常でのストレスとの向き合い方、周囲の気づきの大切さを訴える。
五月病は学生や新入社員ら若者に発症が多いと思われがちだが、横浜労災病院(横浜市港北区)の勤労者メンタルヘルスセンター長を務める山本晴義医師(67)=心療内科=は首を振る。
「社会人は入社後も異動や転勤など生活が一変する機会が多く、どの年代でもかかる可能性があると認識を広げた方がいい」
定年間際で単身赴任をしたり、わがままな部下が異動してきたり。職場環境や人間関係に辛抱を続ける中で、管理職や年配社員が不調を訴えるのは珍しくなくなってきたという。
「前任者と比較され自信をなくした」「望んだ職場環境と違う。辞めたいが辞められない」「仕事を教えてくれない。必要とされていないように感じる」…。山本医師の元には、ベテランから若手まで、全国から年間延べ8千件に上る相談メールが届く。
研修後、先輩に掛けられた「もう一人前だから」のひと言から、「期待を裏切れない」と誰にも相談できなくなった新入社員。目標の役職に昇進したものの、張り切りすぎてオンとオフの切り替えができなくなり体調を崩した管理職。五月病の実例は数限りない。
肝心なのはストレスとの向き合い方だ。「ストレス源はなくならない。どうためないようにするか。『平日は我慢し、週末に解消』ではなく、『その日のストレスはその日に発散』が理想」と山本医師。昼寝でも軽い運動でも、毎日続けられる解消法を持つことだ。「ストレスは必ずしも悪ではなく、上手に付き合えば成長につながる。ばねにする視点も持てればいい」
職場の対応も大事になる。「連休明けに、持ち物や身なりに変化はないか、会話や表情は曇っていないか。本人に自覚がなくても周囲が気づくことが早期対処への第一歩になる」
新型うつの場合は会社を休んだり遅刻が目立つ場合も。「サボりや怠慢と断じればさらに追い詰めることになる。当人の気持ちを受け止め、結論を急がないことだ」。最後まで話を聞く、穏やかな表情でゆっくり話す、理解できないことは「理解したいから」と聞き返す-が重要という。
上司に不調が見られる場合は、「上司の上司に報告するのが一つの手。告げ口になるのではと後ろ向きに思わずに、『調子が悪そう』『サインが出ている』と伝え、支援の橋渡しをしてもらうこと」と助言する。
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