「神龍」と「回天」 旧日本海軍の“幻の特攻グライダー” レプリカで戦争の悲惨さ伝える
太平洋戦争末期、戦局の悪化に伴い旧日本海軍が極秘裏に開発・製造した特攻兵器「神龍(じんりゅう)」と「回 天」。
その実物大レプリカを製作し、戦争の悲惨さなどを伝え続けている人がいる。
旧日本海軍兵の三好昌廣さん (90)=香川県東かがわ市=だ。
香川師範学校在学中の昭和20年5月に学徒出陣で神奈川県横須賀市の海軍施設に配属され、兵器製造などに携わった。
戦闘の経験はなかったが、先輩の予備学生らは出撃などで若い命を散らし た。
戦後70年を迎え、「常軌を逸した兵器」の存在を通して戦争のむなしさを後世に語り継ぐ三好さんに、乏しい作戦の上で
開発された特攻兵器の“真の姿”を聞いた。 (秋山由美子)
洞穴などから発進し、上陸してくる米軍の戦車や揚陸艇に体当たり攻撃で爆砕する-。
終戦間際、本土決戦に備えて製造された特攻グライダー「神龍」。
実戦投入はなかったが、昭和20年5月の試作機完成後、攻撃に備えた飛行 訓練などが行われた。
「神龍」は神風特別攻撃隊や人間魚雷「回天」、滑空特攻機「桜花」ほど知られていない。
「わしは特攻グライダーで出撃する予定だった」。
三好さんが幻の特攻機の存在を知ったのは、そんな同窓生(元飛行兵)の言葉からだった。
「考えただけでも息が詰まり、身の毛がよだつ特攻兵器。戦争の悲惨さを取り上げるなら、これ(神龍のレプリ カ)をつくるしかない」
と思い立ち、一般のグライダーで訓練を受けたという同窓生からの情報をもとに、設計図などの資料収集に奔走した。
神龍は、木と帆布(テントの布)を組み合わせただけの簡易な構造で、100キロの徹甲爆弾を搭載し、相手に体 当たりする
という無謀な作戦の上で計画・開発された。
三好さんによると、昭和20年9月に米軍が九十九里浜 (千葉県)を攻撃するとの情報を日本軍が入手し、同県の 山腹などに
穴を掘って神龍を隠す計画があったという。
攻撃の際は左右のロケットを噴射し、高度200メートルに達した時点で爆弾の安全ピンを外し、敵揚陸艇や戦車などを
発見次第、中央部のロケットを点火。滑空・加速して突っ込む特攻作戦だ。
特攻グライダー「神龍」のレプリカと三好昌廣さん
http://www.sankei.com/images/news/150503/wst1505030003-p1.jpg
いかそ
http://www.sankei.com/west/news/150503/wst1505030003-n1.html