歴史認識 批判かわす狙い 首相、米戦没者施設など訪問
2015年5月2日
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【サンフランシスコ=中根政人】訪米中の安倍晋三首相は歴史に関連した施設を相次いで訪問している。
首相には、第二次世界大戦をめぐり、米国内にある「歴史修正主義者」との批判をかわす狙いがある。
首相は首都・ワシントンに滞在中、第二次世界大戦の戦没者や犠牲者に関する施設を三カ所視察した。
一日にはロサンゼルスで、第二次世界大戦に従軍し激戦地で戦った米軍日系人部隊の記念碑を訪れ、献花する。
首相は四月二十七日にワシントンに到着した後、真っ先に第二次世界大戦の戦没者などを埋葬するアーリントン国立墓地を訪問。
続けて、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺に関する展示を行うホロコースト博物館も訪れた。
首相はホロコースト博物館の視察後、記者団に
「悲劇も善意の勇気も風化させず記憶にとどめ、世界の平和と安定に、より積極的に貢献しなければならないとの決意を新たにした」と強調した。
二十九日には第二次世界大戦記念碑を訪問。
直後の米議会上下両院合同会議で言及し、敵国だった米国と同盟関係を築くまでの経緯を訴えた。
米国内で、首相は靖国神社参拝や「侵略の定義は定まっていない」との発言などをめぐり「歴史修正主義者」との批判を一部で受けている。
首相としては、今回の訪米で歴史関連施設を数多く訪ね、米側の懸念をぬぐいたい思惑がある。
首相は夏に発表する戦後七十年談話につながる米上下両院合同会議での演説でも、先の大戦への「反省」を表明した。
米ワシントン・ポスト紙は「首相は歴史や戦争の残酷さに注意を払っていることを見せたかった」と解説してみせたが、
米議会演説に関しては慰安婦問題について 「ほのめかしただけだった」と指摘。
ウォールストリート・ジャーナル紙は演説について「過去の首相の謝罪の言葉を使うことはなかった」と、否定的に報じた。
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