銀河系の中心に星の墓場を発見、謎の高エネルギーX線を放出
ナショナル ジオグラフィック日本版?4月30日(木)16時30分配信
銀河系の中心部(右寄りの白っぽい領域)は星の墓場の可能性が高いという。(IMAGE BY NASA, ESA, SSC, SXC, AND STSCI)
銀河系の中心部には巨大なブラックホールがある。その周囲は恒星やガス雲が猛スピードで渦巻く、とても騒々しい場所だ。このほど天文学者が、この渦から高エネルギーX線のもやが立ちのぼっていることを突き止めた。X線は死んだ星から出ていると考えられる。この場所の星の数は非常に多く、星の墓場と言ってよいほどだという。論文は科学誌「ネイチャー」に掲載された。
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X線は銀河系の中心部のブラックホールのまわりに集中していて、直径13光年、厚さ26光年の領域から出ている。論文の筆頭著者である米ハバフォード大学のカースティン・ペレス氏は、「問題は、このX線のもやがどこから来ているかということなのですが、私たちにはまだ分かりません」と言う。
恒星がブラックホールに近づきすぎると、ずたずたに引き裂かれて、飲み込まれてしまう。こうした「事件」の発生を知らせるのは強烈な電磁エネルギーの放出だ。ブラックホールは友好的な隣人ではない。
ブラックホールが食事をしていないときにも、銀河系の中心部はエネルギーに満ち、絶え間なくX線を放出している。
ペレス氏らは、X線源はまだ特定できていないと言っていたが、説明する方法が思いつかないというわけではない。「いくつかの仮説があって、どれも否定することができないのですが、それぞれに問題があるのです」。
1つの大きな仮説は、死んだ星が周囲を回る伴星から物質を引き込んでいるというものだ。
死んだ星は白色矮星かもしれない。白色矮星とは、太陽に似た恒星が潰れてできた小さく高密度の燃えかすだ。伴星から剥ぎ取られたガスが白色矮星に降着した途端、蒸発してX線などのエネルギーを爆発的に放出する。
けれども、ペレス氏らがNuSTAR望遠鏡で観測したような高エネルギーX線を作り出すには、白色矮星のもとになる太陽に似た恒星の質量はもっと大きくなければならない。そして、銀河系のX線シグナルの強度を説明するには、このような白色矮星の数が少なすぎる。
(続きあり)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150430-00010002-nknatiogeo-sctch
http://amd.c.yimg.jp/im_sigg99FdzvO8DPRfth5neW4dIw---x600-y300-q90/amd/20150430-00010002-nknatiogeo-000-6-view.jpg